【競馬】天皇賞・春、「3強」に割って入る馬はいるのか

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 伝統のGI天皇賞・春が5月4日に京都競馬場で開催されます。芝3200mという長丁場で行なわれる唯一のGIで、東京・芝2000mで行なわれる秋の天皇賞とは違った面白さがあります。特に今年は、この路線で考えうる限りの現役牡馬トップホースが顔をそろえ、見応えあるレースになりそうですね。

 なかでも、注目すべきは「3強」と言われる馬たちです。

 まず一頭目は、昨年の日本ダービー(2013年5月26日/東京・芝2400m)の勝ち馬キズナ(牡4歳)。ダービー制覇で世代ナンバーワンの座につくと、秋には果敢に欧州遠征を敢行し、凱旋門賞の前哨戦となるニエル賞(9月15日/フランス・芝2400m)で海外重賞制覇を果たしました。さらに、本番の凱旋門賞(10月6日/フランス・芝2400m)でも4着と好走。キャリアが浅く、まだ成長途上の段階で、あのロンシャン競馬場の重い馬場、それもGIで好走するということは、称賛に値します。

 その後、有馬記念(12月22日/中山・芝2500m)出走を目標に調整されていましたが、回避して再放牧。仕上げ直しての復帰戦は、前走の大阪杯(4月6日/阪神・芝2000m)でした。凱旋門賞後に一頓挫あって、半年ぶりの競馬には心配の声も挙がっていましたが、キズナはそんな周囲の不安をよそに、最後方から追い込む"らしい"競馬で圧巻の勝利を飾りました。

 3200mという距離経験はないものの、ロンシャンの重い馬場であれだけのパフォーマンスが見せられれば、何ら問題ないでしょう。

 競走馬にとって「不治の病」といわれる屈腱炎(くっけんえん)を克服し、昨秋復帰したウインバリアシオン(牡6歳)も「3強」の一角です。復帰後は、一戦ごとにパフォーマンスを上げていって、前走の日経賞(3月29日/中山・芝2500m)では、2着と好走した有馬記念以上の内容を見せて完勝しました。その状態を維持していれば、勝ち負けできるのではないでしょうか。

 ただ、主戦の岩田康誠騎手が騎乗停止となり、乗り替わりになってしまったことと、脚元がやはり気になります。とりわけ脚元は、今は大丈夫でも、屈腱炎はいつ再発するかわかりません。競走馬の宿命とはいえ、不安はあります。

「3強」の残る一頭は、昨年同様、阪神大賞典(3月23日/阪神・芝3000m)を圧勝したゴールドシップ(牡5歳)です。

1 / 2

著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る