上機嫌なハリルホジッチに問う。中国戦はそんなに良かったか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 早草紀子●写真photo by Hayakusa Noriko

 試合後のハリルホジッチは上機嫌だった。

「ラストパス、フィニッシュの力に欠けていただけ。3試合で一番良かった。もっと得点が奪えそうなチャンスもあった。勝てなかったけれど、高く評価している」

 その口を突いて出たのは、ポジティブな話ばかりだった。素朴な疑問に襲われる。

「そんなに良かったですか?」

 比較対象を過去2戦に求めれば、そりゃあ良かった。しかし、日本代表のあるべき姿としてどうだったかといえば、良くない。褒められない試合だ。

中国戦で武藤雄樹に指示を与えるハリルホジッチ監督中国戦で武藤雄樹に指示を与えるハリルホジッチ監督 中国は、選手個々の技量で日本の下を行く格下。攻撃は、受け手と出し手のみの関係に基づく、ミエミエのパスワークが主体だ。見ていてつらくなるサッカーをする相手に対し、結果論を振りかざすわけではないが、引き分けてしまった。押して、押して、押しまくって、不運にも引き分けてしまったわけではない。普通によく見かける引き分け劇を演じた。

 結果に対して喜ぶべきは中国側。にもかかわらず、ハリルホジッチは喜んでしまった。そのピント外れとおぼしき楽観主義はどこから来るのか、心配になる。

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