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有村智恵のクラブを長年支え続けるフィッター・梶山駿吾氏 フィッターの役割と"音"にこだわるヤマハならではのクラブ作り (3ページ目)

  • text by Sportiva

【ヤマハならではの"音"へのこだわり】

有村 フィーリングが合う人だと、持ってきてもらった物でヘッドはもうOKで、すぐにバランスをどうする、シャフトをどうする、みたいな話に移れる。ツアー担当さんは大きな使命を抱えていらっしゃいますよね。

(ツアー担当に)契約選手が何人もいると、その時々でやっていることや悩みがみんな違うので、そこに合わせたクラブも作ってないといけない。ゴルフの知識もないといけないし。あ、梶山さんはゴルフ上手いんですか?

梶山 ゴルフはやっていましたけど、別に上手くはないです(笑)。

有村 やってらっしゃることは知っていましたけどね(笑)。やっぱり経験者は多いんですか?

梶山 経験者は多いですが、必ずしも、ではないです。ただ、プロと話すには、ある程度ゴルフのフィーリングやスイングのことまで考慮できた方が有利ではあるかもしれません。

有村 ヤマハならではの音楽事業があるじゃないですか。私は決め手が"音"だったんですよ。打音というか、打感とも紙一重なんですけど、この感じの音がいいな、が合っているんだったら、微調整すれば絶対いいクラブに出会えるっていう感覚があって。それを伝えたら、やっぱり音楽の会社だから、音にはこだわりがあると感じて。工場に音を測る部屋がありますよね。

梶山 無響室のことかな。まったく音が響かなくて、単純にどういう音が出ているかを測る部屋で。

――打音でクラブを選ぶ選手は多いんですか?

梶山 もちろん、最低ラインというか、ドライバーだったら飛ばなきゃいけないとかはあるんですけど、その中で最終的に何をプラスアルファとして選ぶか。ウチを選んでいる選手は、たまたまかもしれませんが、打音、つまり打感で選んでくれています。打音と打感はイコールなので。

有村 ほぼ一緒ですね。

梶山 ヘッドホンをして球を打つと、打感ってほぼわからない。

有村 そうなんですか? 

梶山 プロゴルファーだと素材で(打感が)わかるかもしれない。ですが、耳から入ってくる情報は打感に直結するので。打音で選んでいる、という人はそんなに多くはないかもしれないけど、大事な要素だと思うんですね。

(つづく)

【Profile】有村智恵(ありむら・ちえ)
1987年11月22日生まれ。プロゴルファー。熊本県出身。
10歳からゴルフを始め、九州学院中2年時に日本ジュニア12~14歳の部優勝。3年時に全国中学校選手権を制した。宮城・東北高で東北女子アマ選手権や東北ジュニア選手権、全国高校選手権団体戦などで優勝。2006年のプロテストでトップ合格。2007年は賞金ランク13位で初シードを獲得した。2008年6月のプロミスレディスでツアー初優勝。2013年からは米女子ツアーに主戦場を移した。2016年4月の熊本地震を機に日本ツアーへ復帰。2018年7月のサマンサタバサレディースで6年ぶりの優勝を果たすなど、JLPGAツアー通算14勝(公式戦1勝)をあげる。
2022年に30歳以上の女子プロのためのツアー外競技「LADY GO CUP」も発足させた。
2022年11月に、妊活に専念するためツアー出場の一時休養を表明。2024年4月に双子の男の子を出産した。

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