セントアンドリュース攻略におけるキャディの重要さ 有村智恵が振り返る全英女子オープン (2ページ目)
【ここは本当にキャディの技量が試される場所】
――そこも含めてのコースマネージメントですか?
私は彼女のゴルフをあまり知らないので、ドライバーの飛距離も把握していなくて、純粋に「あまり飛距離が出る選手じゃないのかな?」と思いながらドライバーショットを見ていたのですが、いざセカンド地点に行ってみたら......、という感じでした。17番ホールでいいパットを決めて、その勢いのままいきたかったのかもしれません。本人が一番悔しいと思うんですけど、何かひとつ選択を変えていたら、結果も違っていたかもしれませんね。
それまでの3日間、ほぼ同じようなセッティングだったので、毎日同じようなことをやっていたはずなんです。ティーショットがグリーン近くまで行って、この距離のアプローチが残る、というのはわかっていたはずなので、何を考えてあの選択にしたのかはわからないんですけど、自分だったら必ずキャディさんと相談していたと思います。
――セントアンドリュースのような難コースはもちろんのこと、やはりキャディさんの力は重要ですね。
大切ですね。現地に知り合いのキャディさんもいらっしゃって、「ここは本当にキャディの技量が試されるところだね」って圧をかけてしまいました(笑)。幸い、今大会は風向きが毎日一緒でした。風の強さはマチマチでしたが、基本的な風向きは、私が現地に着いた火曜日からずっと一緒だったんです。アウトコースが左からで、インコースは右から。
でも、選手からの見え方として、フェアウェイが広々と見えるところってほぼないので、フェアウェイに落とすためには、違うホールの全然違う目印に打っていかなければいけなくて、それってすごく勇気がいることなんです。
「こんな左に打って大丈夫なのかな?」と思いながらも、キャディさんを信じて、勇気を持って打っていかなければいけないのですが、逆風が来た時は、昨日までは左を向いていたのに、今度は急に、昨日までだったら絶対にOBになるであろう右の方向を向いていかばければいけない――ということが起こった時に、キャディさん頼りになってくるというか。どの辺りを向いたらいいのかや、この風でポットバンカーに入らないところに落とすには何ヤード打ったらいいかなど、全部を選手が計算しているとキャパオーバーになってしまいますから。
それと、私も経験したので現地に行く選手には伝えましたが、全英女子にはプロアマ戦があるんですよ。他の海外メジャーでも開催されることはありますが、たとえば全米女子オープンにはプロアマがありません。プロアマがある場合、練習ラウンドをできる時間がすごく限られてきます。その限られた時間のなかで、大量の情報を頭に入れておかなければならないので、キャディさんがどれだけコースを知っているかはとても大事になります。
岩井千怜ちゃんのキャディさんは、私がもともとずっとお世話になっていたキャディさんなんですけど、現地には(姉の)岩井明愛ちゃんのキャディさんもいて、チームで動いているから、明愛ちゃんのキャディさんと分担してコースチェックをしたり、お父さん含めた3人でコースチェックに行ったりしていたみたいで。それによってたくさん情報収集もできるし、共有もできるので、いいやり方だね、と話をしていました。
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