「ポスト松山英樹」候補4人の可能性と課題 世界での活躍が期待される若手の現在地 (2ページ目)

  • 吉田洋一郎●取材・文 text by Yoshida Hiroichiro

【ZOZOチャンピオンシップで台頭したふたり】

 ZOZOチャンピオンシップで6位タイに入った平田は、大阪府出身の22歳。2021年、大学3年の時に学生日本一となり、その年の12月、プロに転向した。そして今シーズン、ミズノオープンでツアー初優勝を飾って、日本プロで国内メジャーも初制覇した。

 身長170cm、体重70kg。プロゴルファーとしては小柄で細身なため、平均288ヤードと飛距離が出るタイプではないが、スイングの完成度は高く、方向性と再現性に優れたスイングをしている。

 とはいえ、PGAツアーで戦うには、やはり飛距離が必要になるだろう。

 PGAツアーにおいて、平均300ヤードを記録している選手は104人いるため(10月25日時点。以下同)、300ヤードをきると"飛ばない選手"の部類に入る。288ヤードだと、174位。最も飛ばない選手たちの部類に入ることになる。

 飛距離が出なくても活躍する選手はいるが、コース全長が7500ヤード以上のセッティングの試合では厳しくなるだろう。現在のスイングのまま、飛距離を伸ばせるかどうかが、今後の課題になる。

 平田と同じような体形で、飛距離も同等の選手に、世界ランク92位のザック・ブレア(33歳/アメリカ)がいる。彼のようにショートゲームを磨き、短いコースで開催される試合に照準を合わせるのも、ひとつの手だ。

 同じくZOZOチャンピオンシップで6位タイに入った久常は、2017年の日本ジュニア(12歳~14歳の部)で優勝。2021年、10代でプロ入りして下部ツアーで勝利を重ね、レギュラーツアーへの昇格を果たした。今年はDPワールドツアー(欧州ツアー)に参加し、9月のカズーオープンdeフランスで初優勝を飾った。

 ZOZOチャンピオンシップで久常の練習を観察してみると、練習の最初にドライバーを持ち、ステップしながら打ったり、ヘッドを走らせることを意識して打ったりと、独自の調整法を持っていた。

 そういった練習方法やインタビューの受け答えから推測すると、自分で考えながらスイング構築ができるタイプの選手と言える。そのようなクレバーさがあるからこそ、若くして海外で活躍できるのだろう。

 スイングも下半身を適切に使えており、力強さとコントロール性を兼ねた実戦向きのスイングだ。今後も海外の環境に適応し、自分自身で道を切り拓くことができるに違いない。

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