「ポスト松山英樹」候補4人の可能性と課題 世界での活躍が期待される若手の現在地 (3ページ目)

  • 吉田洋一郎●取材・文 text by Yoshida Hiroichiro

【ナショナルチームでも活躍してきたふたり】

 ZOZOチャンピオンシップでは残念ながら下位に沈んだが、大会前にはその活躍が期待されていた中島啓太(23歳)と蟬川泰果(22歳)も、ここで触れないわけにはいかないだろう。

 中島は、2020年にアマチュア世界ランキング1位の座に就き、2021年のパナソニックオープンではアマチュアの身で優勝。華麗な実績を引っ提げて、2022年9月にプロ転向を宣言した。

 そして今年6月、ASO飯塚チャレドでプロ初勝利を飾ると、8月の横浜ミナト チャンピオンシップで2勝目を挙げた。

 エリート街道を進んできた中島は、インタビューの受け答えからして、スマートな選手という印象がある。スイングに関しても、理論的に丁寧に作り込まれている人工的な匂いがした。"きれいなスイング"を目指して細部までチェックし、練習ドリルで体に動きを覚え込ませるスイングを構築してきたのではないだろうか。

 ただ、ZOZOチャンピオンシップは51位タイに終わり、PGAツアーでの活躍を目指す選手としては大きな課題が残った。

 PGAツアーの選手のなかには、きれいなスイングには見えないものの、理にかなった個性的なスイングの選手が多く存在する。中島がPGAツアーで勝つためには、彼らの"強いスイング"と、自らのスイングにどのような違いがあるのかを分析し、スイングをもう2ランクほどレベルアップする必要がある。

 中島には、プレースタイルや頭脳の面から、体格がほぼ同等のモリカワのようなプレーヤーになれる資質がある。そんなふうに自らのキャリアを高めるためには、スイング構築をする以前に、どのようなキャリアプランを立てるか。そのためにどのようなチームを組むか、といった戦略性が求められる。

 現在、最も注目を浴びている若手と言えば、蟬川だ。2022年10月の日本オープンで95年ぶりのアマ優勝を果たすなど、アマチュア時代にツアー2勝を挙げた逸材である。

 2022年10月にプロ転向を果たすと、今年4月の関西オープンでプロ初優勝。ZOZOチャンピオンシップでは73位タイと最下位に近い結果だったが、身体的なポテンシャルで言えば、若手No.1ではないか。

 スイングは下半身を積極的に使っており、パワフルで高い球が打てることが強みだ。飛距離も平均310ヤードと申し分ない。スイングの再現性のレベルを高める必要はあるが、野性味あふれるスイングは魅力的なので失わないほうがいいだろう。

 自らの感性を生かしてスイングを作ってきたタイプのように見えるので、自分の感覚を理解して導いてくれるコーチと出会うことができれば、さらに飛躍することができるはずだ。

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