原英莉花がボールに刻んだ復活への「覚悟」 選手生命すら不安になるどん底から2度目の女子オープン制覇

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 日本女子オープン(福井県・芦原GC海コース)は、決勝ラウンドに入るとツーサムで争われる。今年は3日目と最終日に、菊地絵理香と原英莉花がいずれも最終組で回った。

 他の追随を許さぬ"マッチレース(エリカ対決)"の激闘を制したのは、原だった。黄金世代のひとりである原にとって、3年ぶり2度目の女子オープン優勝(通算5勝、そのうち、3つが国内メジャー)となった。

「メジャーに強いのかな......。難しいコースセッティングで、自分の"味"が出せた。やっぱり(日本女子オープンは)試合の雰囲気も違うし、コースも毎年変わって、新しい気持ちで臨めるというのもいい。過去の記憶に振り回されず、今の自分の状態で戦える」

圧巻のプレーを見せて、日本女子オープンを制した原英莉花圧巻のプレーを見せて、日本女子オープンを制した原英莉花この記事に関連する写真を見る 3日目を終えて通算11アンダーで単独首位に立ち、2位の菊地とは1打差をつけて最終日を迎えた。5番パー5では310ヤードに迫る勢いのドライバーショットを放って2オンに成功し、イーグルを奪った。ショットがぶれることなく安定し、バンカーに入れることはあっても冷静に対処して、最終日のボギーは2番のひとつのみ。

「1番でバーディーが取れていい流れでいけるかと思ったけど、2番でボギーを叩いて、すごく気持ちが引き締まったというか......ガンガンいける感じじゃないんだなと、新たに気持ちを作り直してプレーできた」

 通算15アンダーと伸ばし、最終日をノーボギーで回った菊地に3打差をつけての戴冠だった。最大の武器である飛距離でたぐり寄せたチャンスを確実にものにし、優勝争いの終盤に訪れたピンチをしのいだパッティングも4日間を通じて好調だった。

「距離感の練習は常に毎週やっているんですけど......グリーンの状態がよかったこともあって、しっかり縦回転で打つことができていたから、読んだラインと(実際の打ったボールが)マッチしていた」

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