20歳の新星・神谷そらが日本女子プロ制覇「小3で200ヤード飛ばした」攻めのゴルフの原点 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
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 一時は小祝との差を3打に広げたものの、「優勝を意識しはじめた」という16番でボギーを叩き、一方の小祝は17番パー3でバーディーを奪い、最終ホールを1打差で迎えた。

「(小祝の追い上げは)ドキドキしていました。17番のティーショットで(小祝は)あの緊張感のなか、ピンに絡むショットを打っていた。16番でも私が外したパーパットを同じようなところから入れたり。ぜんぜんレベルが違うなと思いながらプレーしていました」

 それでも逃げきった。

「自信につながってくれるとうれしい」

 神谷はフジサンケイレディスの優勝後、ちょっとした苦境も味わっていた。

「優勝して生活が変わって、夏のはじめには優勝争いにも絡めなくて、予選落ちしたり、やりきれない試合があって後悔したりして、モヤモヤした日が多かった」

 それを振り払ったのは、神谷の武器である飛距離だ。最終日にはドライバーであわや300ヤード越えのショットもあった。

「小さい頃から飛んでいて、小学3年生の時には200ヤード飛んでいた。当時入っていたスクールが大人(対象)のスクールで、ジュニアの子が他にいなかった。練習場では成人男性の方と一緒で、コンペも一緒に回っていた。

 そこで(大人たちに)なんとか追いつこうと思って(クラブを)振っていたのが、今の飛距離につながっているのかな。それを生かして(今後も)攻めのゴルフを貫いていきたい」

 フジサンケイレディスで初優勝して以来、海外の強豪選手が集まる11月上旬のTOTOジャパンクラシックで戦うことを、ひとつの目標に据えている。それが、遠い未来の夢につながると神谷は考えているからだ。

「いずれは海外に行きたい。アマチュアの大会で海外に行くことはこれまでもあったけど、USLPGA(の試合)はまだ出場したことがない。同ツアーで戦う方たちが来る場で、どこまで自分が通用するのかを確認したいんです」

 同大会でもし優勝すれば、米ツアーのメンバーにもなれる。

「はい、知ってます(笑)」

 だが、まだその時期ではないことも理解している。

「1年目で優勝争いに加わる回数も少ないですし、技術的にも足りない。TOTOに出られたら、今の自分の現状がわかるので、そこからコーチと相談して、いつかは......」

 期待の新星は、しっかり足もとを固めて将来を見据えている。

神谷そら(かみや・そら)
2003年4月18日生まれ。岐阜県出身。2022年にプロテスト合格。同年のQTで7位に入って2023年ツアーから本格参戦を果たす。ルーキーイヤーながら、4月のフジサンケイレディスでツアー初優勝を飾り、日本女子プロ選手権でメジャー制覇も遂げる。9月10日現在、メルセデス・ランキング11位。ドライビングディスタンス1位。身長167cm。血液型AB

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