「自分のゴルフを貫けた」吉田優利が国内メジャー初制覇 勝負を決した17番のカニスピンに「あのショットは完璧」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 あと、周りの人に対する態度というか、姿勢。ゴルファーとしても、人間としても、一番大事なことだと意識しています」

 強風の3日目は、予選ラウンドでの"貯金"を使い果たしてイーブンに。それでも18番でバーディーフィニッシュを決め、2位と2打差をつけて明るく前を向いた。

「結果も、スコアも大事だけど、一番は自分がどんなゴルフをするのか。今日みたいに耐えつつ、(最終日は)全選手のなかで一番いいプレーをしたい」

 最終日に吉田を猛追したのが、ひとつ前の組で回っていた申ジエだった。吉田を含む多くのゴルファーがスコアを崩すなかで、申ジエは16番を終えて1打差に迫っていた。

 最終組の吉田がピンチを迎えたのは、16番パー4だ。第2打をグリーン脇のバンカーに入れてしまう。しかし、ピンまでの距離が短いバンカーショットをなんとかワンピンの距離に寄せ、外せば並ばれるパーパットを沈めてしのいだ。

 そして17番のロングでは、残り90ヤードの第3打をグリーン右サイドに落とし、左に位置するピンに寄せる"カニスピン"で1.5mにつける。申ジエとの差を2打に広げたこのバーディーパットが、事実上のウイニングパットと言えた。

「(17番の3打目は)見ている方々よりも自分のほうが冷静だったと思う。集中力は高かったなと思いますし、あのショットは完璧だったし、次に打つバーディーパットもいいラインにつけられた。

 勝負というのは、人との競い合いではあるけれど、相手がどれだけいいプレーをしようと、悪いプレーをしようと、自分がよければ自ずと結果はついてくる。相手がミスをしているからちょっと守りに入ろうというのは、好きじゃないプレースタイル。そういった意味では、今日は自分のゴルフを貫けたと思う」

 国内メジャーを制すれば、自然と吉田の視線も海外を向くのではないか。

「それは、これから考えようかなと。自分のキャリアを見据えるなかで、どうするべきか、これから先、判断していきたい。まずは目の前のことに集中して、今のままいい状態でゴルフを続けていけば、結果として年間女王につながるんじゃないかと思う」

 吉田が気に入っているという「優利」の名は、「優しく、有利なふうに生きていけるように」という両親の願いが込められているという。

 茨城GCの悪コンディションも、難しいセッティングも、吉田には"優利"に働いた4日間だった。

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