永久シードプロが分析。今季女子ツアーで話題を振りまく注目選手5名の「期待度」 (4ページ目)

  • 古屋雅章●構成 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

高橋彩華(23歳)
2020-2021シーズン出場36試合。優勝0回。トップ10入り13回。
賞金ランキング13位(獲得賞金7257万4766円)

 いわゆる"黄金世代"の高橋さんですが、同年齢のライバルが次々と優勝していくなかで、彼女はいまだに初優勝に手が届いていません。これまで優勝まであと一歩という試合は3試合ありましたが、それらはいずれも最終日に追い上げてのものではなく、最終日をトップで迎えていながらの結果ですから、本当に残念です。

 惜しくも優勝を逃した後日、コースで高橋さんに合うと「またダメでしたぁ」という感じでくる彼女。ある時、そんな彼女に私は「いいじゃない、ずっと"2位"を続けなさいよ」と、変な励ましの言葉をかけたことがあります。

 優勝へあと一歩という結果がそれだけあるのはすごいことだし、最終日をトップで迎える力があると思えばいいじゃない、というニュアンスを込めるとともに、"優勝"という結果にからめ捕られないようにしてほしい、という気持ちもありました。

 というのも、高橋さんは周囲の状況に気を遣いすぎる一面があるからです。実は2017年、宮里藍さんの日本での引退試合において、前年の日本女子アマを制した当時アマチュアの高橋さんは、藍さんと同組でラウンドすることになりました。その時、高橋さんは初日に「72」で回ったのですが、2日目は「79」とスコアを崩してしまったのです。

 ラウンド後、その理由について彼女に訊いてみると、途中で手首を痛めてしまい、思うようなショットが打てなかったと打ち明けてくれました。彼女は直近にプロテストを控えていたので、なぜ途中棄権をしなかったのか問うと、「だって、藍さんと、ですよ」と言うのです。

 のちに「まあ、それもそうだな」と思ったのですが、私はその時、彼女は周囲の状況に左右されて、自分を見失ってしまうような一面があるのかなと思いました。

 優勝争いという状況に入り込んでしまうと、誰もが自分を見失っておかしくなるもの。でもそんな時にこそ、高橋さんには「自分は今度も2位でいい」「いつもどおり」といった、どこか外れた考えを頭の中で思い浮かべる余裕を持ってほしいのです。それができれば、優勝もそう遠くないと思います。

 吉田優利さんに逆転負けをした楽天スーパーレディースのあと、先日のNEC軽井沢72で会った時、そのダメージはいかほどかと思いきや、「でも、最終日は赤字(アンダーパー)では回れましたから」と彼女。その"優勝"に変にとらわれていない様子を見て、「そうそう『2位でよし』の約束を守って上出来」と声をかけました。

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