渋野日向子が魅せたスーパーショット。
鈴木愛の猛チャージに食らいつく

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 四国・松山で開催されている大王製紙エリエールレディス(11月21日~24日/愛媛県)。前日同様、トーナメント2日目も寒い一日だった。空は悲しくなるような曇天で、午後になると冷たい雨が降り出した。

 初日を終えて5アンダー、2位タイでスタートした渋野日向子は前半、4番(パー4)、5番(パー5)で連続バーディーを奪い、7アンダーまでスコアを伸ばす。初日と同じく、この日も好調なパットを武器にして、バーディーを重ねていくかに見えた。

 迎えた7番パー4。渋野はパーオンを決めたものの、長いバーディーパットを1ピンほどショートさせ、そのパーパットを決められずにボギーとする。スコアを6アンダーに後退させた。

 一方、渋野の1組前で回る賞金ランキング1位の鈴木愛は、その7番でセカンドをベタピンにつけて楽々バーディー。1アンダーで終えた初日から、早くもスコアを4つ伸ばして、5アンダーとした。

 この7番を終えた段階で、鈴木に1打差まで迫られたことを、渋野が知っていたかどうか定かではないが、猛追されていたことだけは認識していただろう。前日、あらためて「賞金女王のこと、全然何も考えていないです。残りの2試合で、応援してくれるみなさんに『いいプレーを見せたい』という素直な気持ちでやっています」と語った渋野だが、バーディーを重ねる鈴木を見て、感情が揺れることはなかったのか――。

 続く8番(パー3)。渋野のティーショットは、アゴの高いガードバンカーに捕まった。結局、バンカーショットはピンに寄らず、パーパットも入らずに連続ボギー。スコアを5アンダーに落とし、鈴木に並ばれた。

 渋野と鈴木の争いは、今季の賞金女王争いだけではない。来年の東京五輪の出場権がかかる世界ランキングでも、(11月19日時点で)15位の渋野と17位の鈴木が熾烈に争う関係にある。

 渋野は9番(パー5)でバーディーを奪い、鈴木に対して1打リードして前半を終えた。だが、鈴木は後半も爆発。10番(パー4)でバーディーを奪うと、続く11番のロングホールでは、残り85ヤードの第3打を直接カップインさせる離れ業を披露。イーグルを奪って、渋野との差を大きく広げた。

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