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渋野日向子、逆転に希望。
カッコいい姿は「最終日に残しておきます」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 通算8アンダーで迎えた最終18番は、500ヤードのパー5。驚かされたのは、渋野のティーショットだ。風に乗ったせいもあるかもしれないが、勢いよく放たれたドローボールは、(ここまでは飛んで来ないだろうと設定されている)ギャラリーがコースを横切る道の、その先まで飛んでいった。

 しかも、そのすぐ横には池が張り出していて、飛ばす行為には大きなリスクを伴っていた。しかし、渋野はそれをもろともせず、果敢にドライバーを振り抜いた。2オンさせて、イーグルを奪うために。

 セカンドショットは、グリーンのカラーだったものの、2オンには成功したも同然だった。イーグルパットが決まれば、ついにふた桁アンダーに届くところまできた。

「ボギーを打ち続けていても、ショットは悪くなかったので、このスコアで上がれたのだと思います」とは、ラウンド後の渋野の言葉。そのとおり、ショットは上々で、グリーンをきっちり捉えていた。あとは、パットが決まれば、つまり噛み合えれば、前日のコメントどおりの爆発は可能だった。

 18番のイーグルパットもそうだ。なんと、ショートしてしまったのである。

「カップをオーバーさせたかったのに......。それは『情けない』と思いながらも、最後はバーディーを奪えて、明日につながるゴルフはできたかな、と。(最後のイーグルパットは)もちろん入れたかったですよ。あれ、入れたらカッコよかったですよね。明日(最終日)に残しておきます」

 渋野は、少なくとも見ているこちらよりも楽観的だ。日本女子オープンという大一番なのに、必要以上にがっかりせず、朗らかでいられる――そういうところが、渋野の魅力である。

 自信のほども垣間見える。通算15アンダーまで伸ばした首位の大里と畑岡とは6打差。通算13アンダーとした昨年の覇者、ユ・ソヨンとは4打差。

「嚙み合えば、(逆転可能な)それぐらいのビッグスコアが出そうなコースではありますが......。まあ、上位の顔ぶれが顔ぶれですからね......」

 さらなる強風が吹いても、実力派の2人、畑岡とユ・ソヨンが自滅することはないだろう。渋野は自分でいくしかない。攻めるのみ、である。

 最終日、1番のバーディー発進はマストになる。

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