美女ゴルファー・森美穂。涙を流した数だけ、本当に強くなった (5ページ目)
森美穂(もり・みほ)/1992年12月19日生まれ。三重県出身。2015年、5度目の挑戦でプロテストに合格。同年、QTでも44位という成績を収めて今季、ツアー本格参戦を果たす。身長157cm。血液型A 迎えた昨年のプロテスト。森は最終テストまで駒を進め、最終日を3位でスタートする。待望のプロテスト合格まで、あと少し。しかし、最後の試練が彼女を襲った。
「あがり4ホールでボギーをふたつ打ったんです。一瞬、過去(の悪夢)が過ぎりました。残り4ホールは、本当にしびれましたね。最後のパットを入れた瞬間は、とにかくホッとして」
5度目の挑戦で、森はついにプロテストに合格した。
すぐに高校時代の恩師に電話で合格を告げた。すると恩師は、「ほら、言ったとおりになっただろ」と陽気に笑った。
プロテストを終え、森は福井に戻り恩師のところへ挨拶に出向いた。そのときが、彼女が言う「思い出すと、今でも泣ける」シーンだ。電話では終始陽気だった恩師が、森の顔を見るなり泣き出した。
「もうずっと泣いていました。監督のあの姿を思い出すと、私も泣けてくるんです。プロテストに受かったタイミングでも泣けなかったんですけど、あの瞬間を思い出すと泣けちゃいますね。『戻ってこい』と言った以上、もしも結果が出なかったら……。不安だったのは、私だけじゃなかったんだって」
気が早いのは承知で聞いた。初優勝したとき、恩師に何と言葉をかけますか?
「なんですかねえ……。涙で言葉にならないかもですね。でも、『今日まで育ててくれてありがとう』って言うと思います。なんか、結婚式の花嫁が父親に言う言葉みたいですね(笑)」
そう言うと彼女は笑った。
プロゴルファー、森美穂。容姿のせいだけじゃない。絶望を知り、それを乗り越えた彼女には、涙よりも笑顔がよく似合う。
(後編へつづく)
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