【木村和久連載】しんどいことばかりの、プロツアーの試合観戦

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第36回

 昨年の国内男子トーナメントは、石川遼選手の活躍で、終盤戦は大いに盛り上がりました。

 けれども、ギャラリーの入場者数は、今ひとつだったようです。特に、最終戦の日本シリーズJTカップ(12月3日~6日/東京都)は、会場が東京よみうりカントリークラブと交通の便がよく、天気も晴れて絶好のゴルフ日和。そのうえで、人気プレーヤーの石川選手が優勝したので、さぞや多くのギャラリーが詰め掛けたのだろうと思いましたが、例年並みの人出だったそうです。

 これは、憂慮すべき問題です。好条件でも入場者数が増えないのは、ギャラリーの微妙な意識の変化があると思います。

 ゴルフファンの多くは、ファン以前にプレーヤーなのです。なまじっか自分がプレーするものだから、厳しい目をしているわけです。ですから、男子ツアーに求めるものは、圧倒的なスーパーショットです。

 私も、全盛期のタイガー・ウッズやジャンボ尾崎は、試合会場まで足を運んで生のプレーを見に行きました。やっぱり、彼らはオーラからして違うし、ミサイルみたいに飛んでいくショットにも、音だけで興奮していました。

 しかし今は、プロなら誰もが飛ばし屋さんです。石川選手がなんぼ飛ばしても、「こんなショット、見たことない」とはなりません。しかも、ファンの皆さんは、アメリカのPGAツアーをテレビで見ているので、中途半端な日本人選手のショットじゃあ、満足しないのです。今なら、さしずめバッバ・ワトソンとかね、「彼の350ヤードショットなら、見てみたい」となるんでしょうね。

 まあ、これが女子ツアーだと、一生懸命日本語を覚えて日本ツアーに溶け込もうとしているイ・ボミ選手とか、愛らしい選手や若い選手なんかががんばっている姿を見たいな、となるわけです。それはそれで、アイドルコンサートに近い目線というか、自分の娘への愛情のような意識で見ていますから、ファンは大満足です。

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