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【ゴルフ】賞金ランク2位。菊地絵理香を変身させた「ある暴言」 (3ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 結局、プレーオフではひとホール目で唯一バーディーを決めたアン・ソンジュが優勝。菊地はまたも目前で優勝を逃した。

「あの試合(富士通レディース)が終わったときには、『もう(自分に優勝は)ないな』って思いました。そうそう、ああいうチャンスが巡ってくるものではないし、そのチャンスを何回も逃しているようでは、もうダメだなって……」(菊地)

 試合直後は、さすがに菊地の気持ちも萎えてしまったという。しかし、しばらくして、菊地は川口キャディーの言葉を思い出す。

「よくよく考えたら、今の自分は(川口キャディーが言うように)『単に技術が足らないだけ』って思えば、技術を上げれば今後、私にもまだチャンスがあるのかなって思えるようになったんです。そこから、『もう勝てないかもしれない』という萎えた気持ちが、もう後には引けないというか、『このまま勝てずに終わっちゃうのってどうなんだ』って、前向きなものに変わっていきました」

 以来、前述したように、これまでの練習を見直して、その質的向上を図り、技術面のさらなるレベルアップに取り組んだ。そして、その成果が見事KKT杯バンテリンレディスで実った。

「人前で喋るのは苦手ですけど、優勝スピーチができるのはひとりだけ。あの場所に立てて、『やっぱり、いいもんだなぁ』と思いましたね。また勝ちたい、とすぐに思いました」

 同トーナメントでも、菊地のバッグを担いでいたのは、川口キャディーだった。半年前の菊地と何が違ったのかを聞くと、同氏はこう答えた。

「アプローチとパットの技術。あと、それに裏づけされた自信ですね」

 菊地は5月27日現在、平均パット数2位(昨季52位)、リカバリー率()5位(昨季41位)という好成績を残して、賞金ランキングは2位。技術的な課題を克服し、自信をつけた今なら、これからさらに勝ち星を増やしていけるはずで、このまま一気に賞金女王を目指してもおかしくない。それだけの勢いが、彼女にはある。
※パーオンしないホールでパーかそれよりいいスコアを獲得した率

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