タイガー・ウッズ不在のマスターズに見た「新時代到来の予感」
マスターズの優勝争いは、バッバ・ワトソン(35歳/アメリカ)と、ジョーダン・スピース(20歳/アメリカ)との一騎打ちとなった。
マスターズで2度目の優勝を飾ったバッバ・ワトソン。 PGAツアーの選手たちによる『バイブルスタディ(聖書研究会)』のグループメンバーでもあるふたりは、普段から兄弟のように仲がよく、「実は、練習ラウンドで(ワトソンと)一緒に回ったときに、『最終日、ふたりで最終組になって回れるといいね』と、話し合っていたんですよ」(スピース)という。
それを実現した最終日。ともに5アンダーでスタートしたふたりの流れを変えたのは、8、9番ホールだった。
それまでに、スピースは8アンダーまでスコアを伸ばして、ワトソンは6アンダーと劣勢だったが、ワトソンが8、9番で連続バーディー。片やスピースは連続ボギーとし、一気に立場が逆転。結果、ワトソンがスピースから2打差のリードを奪って、残り9ホールを迎えることになった。
勝負の分水嶺が、この2ホールにあったことは間違いない。スコアはもちろんのこと、8、9番の結果を受けて、スピースは(マスターズ優勝争いという初体験の)あふれ出る感情を抑え切れずに、アーメンコーナー(※)に向かうことになったからだ。
※マスターズが開催されるオーガスタの「名物」でもある、11~13番ホール。ゲームのカギを握るポイントで、スコアを伸ばす選手と崩す選手との明暗を分ける場所と言われている。そして、「どちらに転ぶのか、勝利の女神が微笑むことを祈る」という意味から「アーメンコーナー」と呼ばれている。
おかげで、スピースは12番でボギー。さらにスコアを落として、スタート時点と同じ5アンダーとなった。一方のワトソンは、10番でボギーを叩くも、アーメンコーナーの13番ではバーディーを奪って、再び8アンダーとした。結局、この均衡は最後まで破られることなく、ワトソンが2012年大会以来、2度目のマスターズ優勝を飾った。
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