【ゴルフ】「女王」の称号が森田理香子にもたらしたモノ (2ページ目)

  • 野崎 晃●文 text by Nozaki Akira
  • photo by Nikkan sports

 注目度が上がった森田は今季、その一挙一動に視線が注がれ、成績の善し悪しに関係なく、コメントを求められる。それでも、今季の森田は嫌な顔ひとつせず、メディアに対応するようになった。京都弁を織り交ぜて、時折笑顔を浮べながら、あらゆる質問に真摯に答えている。

「笑顔が出るのは、たぶん、焦ってないからなんでしょうね。『焦らなくても、楽しくやればいいやん!』って、軽い気持ちでいられるというか。これまでは、バーディーを獲らなきゃとか、優勝しなきゃとか、そういう気持ちが大きかったんです。その分、結果を求めて(気持ちが)焦っていたんでしょうね。でも今は、肩に力が入った感じではないんです。これは、今までに感じたことのない感覚ですね」

「女王」になったことで、森田は"自然体"でいられるようになった。その姿からかもし出されるものは、まさしく「女王の風格」だった。

 そんな森田の今季の目標は、賞金ランク5位以内。師匠の岡本綾子プロから、「今年、賞金ランク5位以内に入れば(プロとして)本物」と言われたからだ。

「たぶん岡本さんは、今季も私にかかるプレッシャーは相当あると思ってくれたんでしょう。だから(プレッシャーをかけないように)優しく『トップ5』と言ってくれたんだろうって、勝手に思っています(笑)。最低限、そこはクリアしたいですね」

 しかし、真の目標はもちろん「賞金女王。それが実現できれば、それに越したことはありません」と森田。だからこそ、国内ツアーを重視する。

 米女子ツアーではまもなく、今季メジャー第1弾のクラフトナビスコ選手権が開幕(現地4月3日~6日/カリフォルニア州)する。昨季賞金女王の森田は出場資格を持つが、あえて出場を辞退。国内ツアーのヤマハレディース葛城(4月3日~6日/静岡県)に挑む。

「(日本ツアーで)誰も寄せつけない、強い選手になれればいいな、と思っています。(国内ツアー通算50勝の)不動裕理さんのように、『また優勝したの!?』って思われるくらいの存在になりたい」

「女王」という称号は、間違いなく森田を変えた。その"凄み"は、試合を重ねるごとに増している。今の森田ならば、再び賞金女王となる可能性はかなり高い。不動裕理という偉大なる存在に近づくことも、決して夢ではないだろう。

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