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今季2度目のトップ10。石川遼が得た優勝までの「正しい距離」 (2ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 試合前、「ショットに関しては、まあ、なんとか(やれている)という感じ。自分としては、しっくりきているという、調子ではない」と語っていた石川。決して万全な状態だったわけではない。

「こうすれば、もっといいショットができる、という要素があります。でも、(スイングの)タイミングは合っているな、という感じで、ボールはあまり曲がっていない。先週(ヒュマナチャレンジ)も、このショットで戦えた。だから今はあまり焦らず、まずは予選突破を目指して、ポイント(シード獲得のために重要なフェデックスポイント)を重ねていくことを大事にしたい」

 昨季までの石川は、「調子がいい」と自らに言い聞かせるようにして、試合前から気負ってプレイで空回りすることが多かった。それが今や、自分自身の実力や現状を的確にとらえて、身の丈に合った目標設定を口にするようになった。加えて今季は、内面的な余裕が感じられるようになった。それこそ、米ツアーを1年間戦ってきた経験からくるものなのだろう。ゆえに、多少のミスがあっても動じることなく、大崩れすることがなくなった。

 距離があって、難易度の高いサウスコースを回った初日もそうだった。10番スタートでいきなりバーディーを奪うも、11番パー3ではティーショットを大きく右に外してダブルボギー。13番、14番でも連続ボギーとし、序盤で3つもスコアを落としながら、石川は慌てることがなかった。

「先週よりもコースが難しくて、そのギャップから(序盤は)あまり流れは良くなかった。でも、11番から15番まで難しいホールが続くことはわかっていました。だから、焦るようなことはありませんでした。それに(連続ボギーのあとの)15番で、下りのスライスラインの(バーディー)パットを決められた。あそこで2オーバー。『まだ始まったばかり。パープレーまで戻そう』という気持ちでプレイしました。それで、結果的にバーディーもとれて、イーブンで回れた。初日に難しいコースでいいプレイができて、安心しています」

 さらに、サウスコースで行なわれた決勝ラウンドの3日目。出足の4ホールで3つのボギーを叩きながら、5番パー4でバーディーを奪って勢いに乗ると、一気にスコアを伸ばしてトップと3打差の6位タイまで浮上した。

「2日目に回ったノースコースとグリーンのコンディションが違って、(パッティングの)タッチを合わせるのに時間がかかりました。ただ、決められなかったパットも自分ではいいパットを打っているつもりだった。だから、5番のバーディーパットも自信を持って打つことができた。それが入って、(プレイの出来自体は)大丈夫だと思いました。もちろん、序盤にスコアを3つ落としたことで、気持ちは引きずっていました。でも、無理に気持ちを切り替えようとはしなかった。いろいろな人にアドバイスされるけど、そう簡単に(気持ちを)切り替えられるものじゃない。あまり自分をだますのもよくないし、悪いときは落ち込めばいい。それで、実際にちょっと悪い流れの中でも(今日は)持ち堪えられた。ということは次から、3つボギーが先行しても大丈夫だと思える。(今日のように)3アンダーで回れる可能性があると思える。それが大きい」

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