香川真司、遠藤航を取り込んだ名将クロップ 「勝負以上」を追求する姿勢が人を惹きつける (2ページ目)
【選手の個性に合わせたマネジメント】
「単純に、同じだなんてことはあり得ないだろう。なぜなら、ドイツで生まれ育つのと、セネガルで生まれ育つのではまったく違う。ある選手が私のところにきて、『なんでそれぞれ違う扱い方をするんですか?』と不満げに聞いてきたことがあったが、『だって、彼はアルゼンチン人で、窓もない家で生まれ育っているけど、君たちは何不自由のないミュンヘンで生まれ育った。それでも彼のように扱ってほしいのか?』と答えたよ」
選手の個性に合わせて指導をする。それは簡単ではない。なぜなら、それは非常に労力がいることで、見極める眼も必要になるからだ。"みんな同じように"のほうがどれだけラクだろうか。そこまで行き届いたマネジメントができていたことで、選手たちをどんな戦術にも対応させることができたのだろう。
「ドルトムントでの補強に関しては、シンジ(香川)のときのように運もあった」
ドイツの大手スポーツ誌『キッカー』のインタビューでクロップは語っているが、彼の真骨頂が出たと言えるだろう。
「スポーツディレクターやチーフスカウトにシンジの映像を見せられた。でも、『日本の2部リーグ(香川は2007年から09年までJ2のセレッソ大阪でプレーしていた)と我々ドルトムントが必要とするものを、どう照らし合わせて見るのか?』と聞いたよ。それから、シンジはたったの35万ユーロ(当時のレートで約5000万円)でやって来た。彼が初めて練習に参加したあと、我々コーチ陣はみんなで抱き合って喜んだよ」
クロップは「プランニング」(目標達成に向けた戦略計画を事前に立案・整理すること)に優れたリーダーと言える。そこに頑迷さや偏見は一切ない。納得できたら、新しいことに挑む。常に新しいことを適応させ、失敗を許容することも含めて弾力性があると言えるかもしれない。そのおかげで、香川のような素材もチームに取り込むことができたのだ。
クロップの代名詞である「ゲーゲンプレス」も、相手や味方の戦況に応じ、アップデートしてきた。だからこそ最強を誇った。プランニングは常に変わり、常に最高を目指した。変化を恐れない姿勢にこそ、マネジメントの神髄はあったかもしれない。
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