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サッカー日本代表の事前合宿地は大丈夫? 麻薬カルテルが跋扈するワールドカップ開催国メキシコの現在 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

【治安の状況は落ち着いたものの...】

 カルテルの報復は素早かった。数十台の車が放火され、道路が封鎖され、メキシコ国内の20州で銃撃戦が起きた。ガソリンスタンドに火が放たれ、銃撃戦により空港が閉鎖され、飛行機が炎上した。ワールドカップで代表チームやサポーターが利用する空港が、暴力により3日間も閉鎖されたのだ。

 数日のうちに死者は70人に上り、人々は家から出られなくなり、オフィスや店や学校は閉鎖された。サッカーのリーグ戦も中断された。

 行方不明になった親族を探す人々は捜索を断念せざるを得なかった。麻薬カルテルが支配する地域に入るには軍の保護が不可欠だったが、軍は市内の暴動の鎮圧に忙殺されていたからだ。4日間にわたりグアダラハラの路上に人影は見当たらず、町はゴーストタウンと化した。

 現在、状況はだいぶ落ち着いたものの、カルテルの内部抗争なども起きており、何かをきっかけに大会期間中にまた暴動が起こらないとも限らない。メキシコ政府は有効な対策を見出せておらず、FIFAは「状況を注視する」と言うにとどまっている。

 3月、シェインバウム大統領は、メキシコの連邦政府に元ブラジル代表のベベートらを招待し、ワールドカップのトロフィーを掲げて「外国人サポーターにとってメキシコは危険な国ではない」と宣言した。しかし、メキシコ人選手を起用しなかったことで、また別な批判を受けてしまった。

 もっとも、メキシコの町がすべてこのような状況なわけではない。

 たとえば、日本代表が大会前に事前合宿を行なうモンテレイでは事情が異なる。モンテレイはアメリカに最も近いメキシコの都市であり、ダラス、ヒューストン、アトランタ、ロサンゼルスから直行便も飛んでいる。

"エル・ヒガンテ・デ・アセロ(鋼鉄の巨人)"と呼ばれる「エスタディオBBVA」は、メキシコで最も美しいスタジアムのひとつ。ロンドンのエミレーツ・スタジアムやトッテナム・ホットスパー・スタジアムなどと同じ建築事務所によって設計された。スタンドの一部からは、この街のシンボルであるセロ・デ・ラ・シージャ山が見える。ここでは決勝トーナメントを含めて4試合が行なわれ、6月21日には日本がチュニジアと対戦する。

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