サッカー日本代表の事前合宿地は大丈夫? 麻薬カルテルが跋扈するワールドカップ開催国メキシコの現在 (2ページ目)
【巻き起こるデモ、インフラ整備の遅れ】
たとえば、メキシコシティ市内では物価が急騰しており、スタジアム周辺のホテルやレストランは価格を3倍に引き上げた。
「アステカ・スタジアム」に近いサンタ・ウルスラ・コアパ地区では、住民たちが1年以上前から毎週日曜日に集会を開き、ワールドカップに関連した新規施設の建設に抗議を続けている。たとえばスタジアムの敷地内には地域に水を供給する井戸があるのだが、井戸の衛生管理がきちんとされていないというのだ。メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、解決策を求める住民に対し、まだ何も回答しておらず、住民は開幕戦当日にデモを行なうと公言している。
別のデモも予定されている。メキシコでは近年行方不明者が急増している。現在9万人が行方不明だとして届けが出されていて、2025年だけでも1万4000人が行方不明となった。その多くが組織犯罪に何らかの形で巻き込まれたものであると思われている。人権団体の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、メキシコ政府の行方不明防止対策や犯罪者に対する罰則が不十分だと指摘している。
これらの動きに対して、政府は「ワールドカップ期間中に抗議活動を行なう者は大きなリスクを負う」と警告しており、スタジアム周辺にはのべ12万人以上の警察官が配備される予定だ。
インフラの整備も遅れている。グアダラハラの「エスタディオ・アクロン」では、グループリーグの4試合が予定されているが、大会開幕まであと1カ月だというのに、市内のあちこちでまだ工事が続いている。空港とスタジアムを結ぶ公共交通システムの工事は、FIFAが最初に設定した4月26日の期限には間に合わず、現在は5月末が目標とされている。また、ワールドカップに向けて新たな高速道路などは建設されておらず、ラッシュ時の交通渋滞はかなり深刻な問題になると言われている。
しかし、こうした数々の問題がぶっ飛ぶような事件が起こってしまった。
2026年2月22日、メキシコ軍はグアダラハラがあるハリスコ州で、同国最大の麻薬カルテル「ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」のボス、エル・メンチョを殺害した。
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