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FIFAワールドカップの試合をたくさん見たい! ベテラン記者が経験してきた宿泊と移動の奮闘記 (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Takeo Goto

【ベースキャンプを作る方法】

 最も楽なのは、大会中、1カ所に宿を取ってベースキャンプにする方法だ。

 たとえば2006年のドイツ大会の時はフランクフルト中央駅近くの部屋を借りて、そこから列車に乗って各都市を行ったり来たりした。欧州では鉄道網が発達していて利用しやすいし、なんと言っても少ない荷物で移動できるのはありがたい。

 2018年のロシア大会の時も、モスクワ市内にアパートを借りた。

 とても古い建物だった。

 旧ソ連時代に共産党政府は労働者向けに大量のアパートを建設した。とくに、1950年代から60年代にかけて指導者(第1書記)だったニキータ・フルシチョフは数多くのアパートを建てたことで有名だ。僕が泊まったアパートも、おそらく、その当時のものだったのだろう。ガタガタと揺れる、鋼鉄製の重たそうなエレベーターが付いていた。

 築60年で室内もボロボロ。洗濯物を干そうと思って窓枠に手を懸けたら、木が腐っていたのか窓枠が壊れてしまったこともあった。

 ただ、大きな冷蔵庫とガスコンロがあり、大きなバスタブがあったのはありがたかった。

 試合はロシア各地で行なわれたが、ロシア大会では記者団だけではなく、チケットを購入したサポーターも無料で利用できる夜行寝台列車が大量に運行された。

 モスクワから夜行寝台に乗れば試合当日に現地に到着。試合後は再び夜行寝台列車でモスクワに帰るのだ。

 日本がセネガルと対戦したエカテリンブルクやポーランド戦があったヴォルゴグラードは距離が遠いのでチケットを買って飛行機を利用したし、ヴォルゴグラードの試合のあとはモスクワに帰らず、直接次の試合開催地のカザンに向かったので、そういう場合は料金を払って飛行機や列車を利用したが、基本的には都市間移動は無料で済んだ。

 そして、夜行列車でモスクワに帰ってきたら、地下鉄とバスを乗り継いでアパートに戻って、バスタブにたっぷりの湯を張って入浴して疲れを癒し、昼寝をしてから次の試合会場に向かうことができた。

 アパートの窓からの眺めは空が大きく、緑が豊富で、遠くには有名なテレビ塔も見ることができ、1カ月もいると本当に我が家のような気がしてきたものである。

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