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【欧州サッカー】ルイ・コスタは立ち居振る舞い「すべて」が美しかった ミラニスタが愛したポルトガルの巨匠 (3ページ目)

【カカは今でもリスペクト】

 長くレギュラーの座に就いていた者は、ベンチウォーマーというポジションには耐えられない。監督に楯突いたり、メディアを通じてクラブの内情をさらしたり、不満分子へと身を落とす。

 ところがルイ・コスタは、カカを丁寧にフォローした。自らの序列低下を環境のせいにしない潔さ......人間力の成せる業(わざ)と言うしかない。

「感謝してもしきれないほど世話になった」

 カカは今でも、ルイ・コスタをリスペクトしている。

 カカは307試合・104得点・81アシスト。ルイ・コスタは192試合・11得点・45アシスト。ミラン在籍時のデータでは大差をつけられているものの、多くのミラニスタがポルトガルの巨匠を愛した理由は、クラブのためにキャリアを捧げた自己犠牲に尽きる。

 2008年に現役を退いたあと、ルイ・コスタはプロキャリアのスタート地点だったベンフィカの会長職を2021年10月から務めている。前任のルイス・フィリペ・ヴィエイラが背任、加重詐欺、脱税、捏造、マネーロンダリングなどの容疑で逮捕されたあとだけに、心労も察するに余りある。

 ただ、ルイ・コスタは周囲に気を配れる男だ。このタイプがトップに位置する組織は安定し、現場からすればこれほど心強いことはない。

 今シーズンのベンフィカは、現在27節を終了して19勝8分無敗。そう、まだ一度も負けていない。残り7試合という状況をふまえると、首位FCポルトとの7ポイント差を逆転するのは難しいものの、あきらめるのは早すぎる。3シーズンぶり39回目のポルトガル1部リーグ優勝は、是が非でも手に入れたいタイトルだ。

 そしていつの日か、ルイ・コスタのあとを継げるような、華麗かつテクニカルなゲームメーカーを育ててほしい。アスリート化する一方の近代フットボールに楔(くさび)を打つような、芸術家を待望するファンも少なくはないだろう。

 運動量や走力なども含めたプレー強度を軸に選手選考するだけでは、フットボールの魅力がますます損なわれていく。ルイ・コスタは、立ち居振る舞いのすべてが美しかった。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

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