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ネイマールがセレソン復帰に向けてあの手この手 ブラジル全土が見守る「シナリオ」の結末は? (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

【自らを「ペレの後継者」とアピール】

 ピッチからだけでなく、外堀からもネイマールはアピールを進めている。昨年11月末、彼は「ペレ」のブランドを、1800万ドル(約27億円)で買収した。そして広告のなかで、「王様ペレ」に対して自らを「サントスの王子」と呼んだ。これは単なるビジネスではない。ペレブランドを自分のものにすることで、ネイマールは自分を「ペレの遺産を受け継ぐ者」と位置付けようとしている。つまり、ピッチ上で果たせなかったことを、ピッチ外で成し遂げようとしているのだ。

 ネイマールの現在の行動はすべて「ブラジル代表の一員としてワールドカップに行く」という、ただひとつの目標に向かって進んでいる。噂によるとこの冬、ネイマールにはローマやメッシのいるインテル・マイアミからもオファーがあったという。しかしネイマールはそれを断り、ブラジルに残ることを選んだ。アンチェロッティの近くにいて、自宅で家族とバットマン仕様の車やヘリコプターに囲まれ、わがままが通じる古巣で、気心の知れた仲間とともにプレーすることを選んだ。

 つまり、本気で目標に向かうことを選んだのだ。

 ネイマールは21世紀のブラジル代表最多得点者だ。公式戦128試合で79ゴールを挙げている。それでも、彼は一度もワールドカップ王者になっていない。痛みのない大会、負傷のない大会を、挫折のない大会を、一度も経験していない。

 ネイマールは今、到達不可能と思える目標に挑もうとしている。それが、彼が最後に描く映画のストーリーだ。

 残る疑問はただひとつ。ネイマールの身体は、彼自身が描いたシナリオについてくることができるのか。

 その行く末をブラジル全土が見守っている。ドラマチックな結末が待っているのか、それともスーパーヒーローは敗れるのか。予測不可能な「ネイマール」という映画の観客は、結局、最後まで席から立ち上がることができないでいる。

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