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ワールドカップ抽選会に世界中からブーイング トランプ陣営の集会と化したイベントの舞台裏 (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ちなみにFIFAがトランプを気持ちよくさせるために使ったこのショーの経費の総額は5000万ドル(約80億円)にも上ると言われている。トランプに与えられた金色の平和賞のトロフィーも、決して安いものではないだろう。

 抽選会が終わると、ヴィレッジ・ピープルが「YMCA」を歌い出した。トランプの就任パーティーや集会でも演奏されているトランプのテーマソングとも言える曲だ。だが、長い茶番に延々とつき合わされ、呆れ果てていた聴衆は、立ち上がって舞台に背を向け、互いに話をはじめた。そして歌が終わるころには、2000人ほどがいた観客席はほぼ空に。「FIFA TV」はその様子を一瞬、映し出したが、すぐにカメラを切り替えた。

 最後は視聴者や聴衆への「サンキュー」もなく、グダグダな雰囲気のなかで抽選会は終わった。ご満悦な様子で踊るトランプと、それをニコニコと見ながら拍手を送るインファンティーノを残して??。

 サポーターの団体である「フットボール・サポーターズ・ヨーロッパ」の事務局長ロナン・エヴァイン氏は「インファンティーノはどれだけサッカーを貶めれば気が済むのか」と嘆いている。

「FIFAは政治から距離を置いている」という見せかけのメッキはこの日、完全に剥がれ落ちた。これはまさに政治そのものだった。そしてFIFAは金儲けのためなら何でもする団体であることを全世界に知らしめた。

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