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プレミアリーグのチェルシーに世界最高の守備的MF カイセドはデュエルでゲームを支配する

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

西部謙司が考察 サッカースターのセオリー 
第78回 モイセス・カイセド

 日々進化する現代サッカーの厳しさのなかで、トップクラスの選手たちはどのように生き抜いているのか。サッカー戦術、プレー分析の第一人者、ライターの西部謙司氏が考察します。

 プレミアリーグのチェルシーは、今季欧州ビッグクラブのスタンダードになっている最新戦術を駆使していますが、なかでも特徴は強度の高い守備。その中心となっているモイセス・カイセドのプレーを紹介します。

【際立つデュエルの強さ】

 モイセス・カイセドは世界最高の守備的MFのひとりだ。エクアドルのインデペンディエンテからプレミアリーグのブライトンに移籍した時は400万ポンド(約5億8000万円)、それからわずか2年でチェルシーへ移籍した2023年の移籍金額は少なくとも1億ポンド(約182億円)と言われている。

チェルシーの中盤の一角を担うモイセス・カイセド photo by Getty Imagesチェルシーの中盤の一角を担うモイセス・カイセド photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る エクアドルではいくつものトライアルで不合格だった。ようやく合格したインデペンディエンテでいきなり負傷して10カ月もプレーできなかった。ただ、ユースチームを経てトップに昇格した時点で、ミゲル・アンヘル・ラミレス監督は、「最初に練習に参加した時点ですでにチームのベストプレーヤーだった」と述懐している。

 底なしのスタミナと強烈なフィジカルコンタクト、守備だけでなく攻撃でも正確なパスと相手ゴール前へ飛び込んでいく機動力をみせつけていたという。

 2021年にブライトンへ移籍。まもなくアーセナル、リバプール、チェルシーの争奪戦が始まり、最終的にチェルシーへ加入した。

 エンツォ・マレスカ監督が率いるチェルシーは現代的なビッグクラブだ。マンチェスター・シティ、リバプール、アーセナルと同じく、最後尾からのビルドアップでボールを運び、押し込みながら守備の構造を作り、失ったら前線からの即時のプレッシングで奪回する。今や欧州ビッグクラブのスタンダードとなった戦い方をチェルシーも採用している。

 ただ、そのビッグクラブ仕様のプレースタイルにも濃淡がある。

 チェルシーはプレッシングが強みだ。カイセド、エンソ・フェルナンデス、リース・ジェームズで組むMFはデュエルに滅法強い。フォーメーションは4-2-3-1、エンソ・フェルナンデスはいわゆるトップ下のポジションなのだが、攻撃よりも守備とハードワークが目立っている。トップ下にセカンドトップやプレーメーカーのタイプではなく、ボランチ適性の選手を配置するケースがいくつかみられるようになったが、チェルシーもそのひとつだ。

 カイセドは3人のなかでもとくにデュエルの強さが際立っている。

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