サッカー日本代表に暗雲? プレミアリーグで消極ぶりが目立つ三笘薫に何が起きているのか (2ページ目)
【縦に抜き去ることができたのは今季まだ1回】
三笘が後半22分という時間帯でピッチをあとにするのはいつ以来だろうか。記憶がないほど久しぶりだ。だが、ファビアン・ヒュルツェラー監督の采配に異を唱えるつもりはまったくない。三笘は今季、いつ先発を外されてもおかしくないプレーを続けているからだ。この日のプレーにしても見せ場は上記の2回だけ。プレー機会の総数は、チームで1番少なかった可能性さえある。
右ウイングのヤンクバ・ミンテ(ガンビア代表)と比較するとわかりやすい。ウイングプレーの総数は、三笘が後半16分に初めて披露するまで、ミンテは7、8回、敢行していた。躍動するのは右ウイングばかり。左ウイングは見るからにおとなしい、闘争心のないプレーに終始した。
走るスピードは落ちていない。レッドカードを誘発した相手にプレッシャーをかけるランニングには、目を見張るものがあった。だが、ボールを受けると慎重になる。固まるように動けなくなる。それ以前の問題として、積極的にボールを受けたがっていない。周囲も三笘にボールを預けようとしない。
ところ変われば気分も変わるのではないかと、日本代表のメキシコ戦、アメリカ戦にも目を凝らしたが、三笘のプレーはブライトンの三笘と変わりなかった。精神的な問題のようにも見える。かつてのような果敢さはない。対峙する相手に飲まれている感じだ。
相手に1対1を仕掛け、縦に抜き去ることができたのは今季ただ1度。ジェイムズをキックフェイントでかわしたチェルシー戦のワンプレーが初めてだ。日本代表戦も含めて、である。
相手の逆を突いて縦方向に抜けない症状は、実は昨季から現われていた。10ゴールを奪ったことは特筆に値するが、それは内方向への比率が急激に増した証でもある。「内へのプレーも覚えた」と言えば、ウインガーから、総合力の高いアタッカーへと変貌を遂げたように聞こえるが、ウインガーに問われているのはそのバランスだ。基本は縦。そこに内への動きをどう混ぜ合わせるか。
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