検索

佐野海舟が「お買い得」な理由を示すデータの数々 スパーズでスタメンになる実力は十分 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【遠藤航も影響力のあるセンターMF】

 昨シーズンの佐野は、ブンデスリーガ最多の走行距離、4位のデュエル勝利数を誇り、全34試合スタメン・フル出場でイエローカードはわずか4枚。タフネスかつフェアだ。アフリカ選手権の影響も一切ない。

 移籍市場に飛び交う情報が眉唾(まゆつば)だとしても、マインツの上層部が「公式オファーどころか、問い合わせすらない。カイシュウは絶対に手放さない」と噂を全否定しても、火のないところから煙が立ち、真っ赤に燃え盛ったケースは何度だってある。

 近代フットボールはアスリート色が濃くなり、中盤センターは戦闘的影響力が強く求められている。ニューカッスルのサンドロ・トナーリとブルーノ・ギマランイス、アストン・ヴィラのブバカル・カマラ、レアル・マドリードのフェデリコ・バルベルデ、アタランタのエデルソンなどがこのタイプだ。リバプールの遠藤航も、限られた出場時間のなかで影響力は絶大だった。

 また、モイセス・カイセドも高精度のプレッシングを続けながら、効果的なドリブルと縦パスでチェルシーの攻守を活性化した。今、彼こそが世界最強の中盤センターではないだろうか。昨シーズンは中盤センター、あるいは右サイドバックとして全38試合スタメン・フル出場。世界一の強度を誇るプレミアリーグで数秒たりとも休んでいない。もはや「超人」と呼ぶしかない。

 カイセドをはじめとするワールドクラスの中盤センターは、周囲と連係しながら勝利のために戦い続け、破綻する寸前の守備網をひとりで修繕する力を持っている。派手なゴールや流麗なアシストでメディアの見出しになるタイプではないものの、近代フットボールには絶対に欠かせない男たちだ。

 もちろん、佐野もこの部類に属している。昨シーズンのパフォーマンスをふまえると、当代屈指の実力者たちと肩を並べる日も、そう遠くはないだろう。

3 / 4

キーワード

このページのトップに戻る