モドリッチがレアル・マドリードを退団 天才しかいないチームで13シーズンもプレーできたのはなぜか (3ページ目)
【ただの天才ではない】
モドリッチが生まれたのは旧ユーゴスラビア(現クロアチア)のザダル郊外のモドリッチ村というのは有名な話だろう。クロアチア紛争でザダルへ移住したのが6歳、それから18歳まで難民生活を送っていた。
NKザダルのユースチームからディナモ・ザグレブへ移り、そこで10年契約を結んで難民生活が終了した。モドリッチ18歳の時だ。
すぐにボスニアリーグのモスタルへ貸し出され、そこではキャプテンを任されている。荒れたフィールドと荒っぽいプレーのリーグで揉まれた経験は大きかったようだ。いかに才能に恵まれていても、プロとして開花するにはメンタルの強さは欠かせない。小柄なモドリッチだったが、ここで強靭な肉体と鋼のメンタルを手に入れた。
レアル・マドリードで13シーズンもプレーできたのも、気持ちの強さがあったからに違いない。負傷もあり、最初からうまくいっていたわけでもなかった。しかし、多大なプレッシャー、強力なライバルとの競争に打ち勝ってきた。天才しかいないチームでリーダーであり続けた。
ザグレブでプロ契約を結んですぐにボスニアへ貸し出されたのは、ザグレブにはニコ・クラニチャールという同世代の天才がいたから。ザグレブへ戻ったのはクラニチャールが移籍していなくなったタイミングである。当時はクラニチャールのほうが評価は高かったわけだ。どちらも天才だが、ボスニアから戻ったモドリッチはずっと運動量が多く、守備でも貢献できるタフな選手になっていた。
才能があっても発揮できない選手がいる。才能だけの選手もいる。一方で、才能に恵まれなくても意志と努力で高みに上る人もいる。モドリッチは才能に恵まれながら、そうでない選手が持つ力も身に着けていた。ただの天才でなかったところに凄みがあった。
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著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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