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マンチェスター・ユナイテッドに巻き返しの兆し カギはブルーノ・フェルナンデス (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【超テクニシャンにしてファイター】

 水と油をつなぎ続けていたのがブルーノ・フェルナンデスだった。

 アモリムと同じポルトガル人だ。非常にクレバーで優れた技巧の持ち主。同時に強靭なメンタルと閃きを併せ持つ点で、いかにもユナイテッドのキャプテンらしい。

 10分の先制点はブルーノの裏抜けからだった。右シャドーのブルーノはサイドに開いてから相手のマークをタイミングよく外し、背後のスペースを突いた。ブルーノのボックスへ差し込んだパスをアレハンドロ・ガルナチョが受けてえぐり、ウガルテがゲット。きれいな崩しはアモリム戦術らしく、ブルーノの賢さと技術は象徴的だった。

 ボールの置き所がいちいちうまい。35分には後方からのロブをそのままボレーで蹴ってバー直撃。軸足を滑らせて体勢を崩しながらも、きっちりミートしている。

 攻撃の起点となり、精密なラストパスを供給、決定的なシュートも放つ。それだけでなく、ひとりで相手DFふたりを見るという、アモリムの守備タスクを忠実にこなす。球際で戦い、何度もファウルされるがそのたびに立ち上がる。超テクニシャンにしてファイター。アモリムとユナイテッドを結びつけるには余人をもって代えがたい存在と言える。

 114分、ブルーノは氷の冷静さで1点差に詰めるPKを決めた。120分、ブルーノ→カゼミーロとつないでコビー・メイヌーが合計6-6のゴール。最後はカゼミーロのハイクロスをハリー・マグワイアがヘディングで押し込む。PK奪取も含めて3点を実質アシストしたカゼミーロとともに、ブルーノが決定的な役割を果たしていた。

 127分、左サイドでボールを持ったブルーノはキープしながらフィールドを横断。ファウルをもらっている。冷静で賢く体を張ったプレーだった。

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