三笘薫、途中出場で反撃の狼煙&今季8ゴール目 ブライトンは欧州カップ戦が遠のく
プレミアリーグ第33節。10位のブライトンはアウェーで11位のブレントフォードと対戦した。両者の勝ち点は48と43で差は5。それぞれはプレミアリーグの上位と下位を分ける境界のような立ち位置にある。
もうひとつの境界は7位のアストン・ビラと8位ボーンマスの間に存在する。こちらの差は6点。これは、来季のチャンピオンズリーグ(CL)、ヨーロッパリーグ(EL)出場を懸けて争うチームとそれ以外のチームとの境界になる。ブライトンは残り6試合、すべて勝つぐらいでないとそこに滑り込むことはできない。ブレントフォード戦は絶対に落とせない試合だった。
しかし三笘薫は、前戦レスター戦に続きスタメンを外れた。前々節のクリスタル・パレス戦で右のかかとを損傷。程度は重くないということで、早ければ後半の頭から出てくるのではないかと予想する向きもあった。
ブライトンは開始9分に失点する。0-1のまま後半を迎えていれば、後半の頭から三笘は出場していたかもしれない。だが前半アディショナルタイム、ブライトンはヤンクバ・ミンテ(ガンビア代表)、マッツ・ウィーファー(オランダ代表)とつなぎ、ダニー・ウェルベック(元イングランド代表)が頭で押し込み同点とした。
しかし後半、ファビアン・ヒュルツェラー監督は動かず、三笘投入を躊躇った。結果論になるが、ブライトンの敗因はそこにある。
ブレントフォード戦の後半21分から出場、今季8得点目のゴールを決めた三笘薫 photo by Reuters/AFLOこの記事に関連する写真を見る ブレントフォードは後半3分、ブライアン・エムベウモ(カメルーン代表)のゴールで再びリードを奪うと、後半13分には、ヨアネ・ウィサ(コンゴ代表)が追加点を挙げ、スコアを3-1とした。
追い打ちをかけたのが、その3分後に起きたジョアン・ペドロ(ブラジル代表)の肘撃ちだ。一発レッドとなり、ブライトンは10人での戦いを余儀なくされた。
三笘の登場はその直後。後半21分だった。同じタイミングで入ったソリー・マーチ(元U-21イングランド代表)と両ウイングを張った。布陣は4-4-1。10人になっても両ウイングのスタイルを維持するか否かで、その監督の志向は明らかになる。この場合はリードされているので当然といえば当然だが、これを機に反撃のスイッチは入ったかに見えた。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。