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田中碧にはプレミアリーグの舞台が相応しい 2部首位リーズのキーマンにかかる期待 (3ページ目)

  • 山中忍●文 text by Yamanaka Shinobu

【得点にも大きく寄与】

 中盤の底で、「激しさ」よりも「賢さ」で守る日本人ボランチは、リーグ戦でチーム最多となる34回のインターセプトに成功してもいる。ポゼッション志向のファルケ体制下で、リーグ最多のボールタッチ数を記録しているリーズだが、特に一番乗りで「10000タッチ」台に達しているピッチの中盤において、田中という新戦力が攻守両面で試合の主導権をチームにもたらしていると理解できる。

 ワトフォード戦では、珍しく敵にポゼッションを譲る格好となった。だが、試合自体は3点差とした前半からリーズのペース。田中は、スペースを見つけて上がった左インサイドで、チーム最初のシュートチャンスに至るビルドアップに絡んでいる。自軍ボックス内でのパスカットは、2点目を奪うカウンターのきっかけとなった。

 後半に入っても、自陣内からいったん前線の左サイドに届けたボールを、自らも上がって受け取り、巧みなキープからボックス内に走り込む味方へとスルーパス。勝利を動かぬものとした4点目に大きく寄与した。いずれの場面でも、スタンドのアウェー陣営は、すでに「クラブ史上最大級のバーゲン」と認識されている新戦力の働きを、チャントを歌って認めていた。

 チームとしては、カウンターでも完勝を実現できる懐の深さを示し、2部王者としてのプレミア復帰に信憑性を強めることになった。もっとも、試合後に「もっとボールを支配して試合のコントロールを強めたかった」と語った指揮官は、田中へのさらなる期待にも触れている。

「得点面での貢献をより高めてほしい。最近の試合を見てもわかるように、ゴールやアシストをこなす能力は備えている(年明け後のリーグ戦8試合で2ゴール1アシスト)。今日も、あと少しだけ丁寧にシュートを打てていれば、得点できたかもしれない。

 ウチでは、ドイツでやっていた頃よりやや深い位置でプレーしてもらっていることは事実だが、得点に絡めるエリアに顔を出す頻度は増えてきている。彼には、より多くのチャンスを作り出したり、自分でチャンスをものにしたりする自由を与えているし、それを奨励してもいるからね」

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