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田中碧にはプレミアリーグの舞台が相応しい 2部首位リーズのキーマンにかかる期待 (2ページ目)

  • 山中忍●文 text by Yamanaka Shinobu

【「期待していたとおり」と指揮官】

 就任2年目のダニエル・ファルケ監督も、こう言っている。

「ドイツ2部からの移籍で、イギリスではほぼ無名だった選手。移籍金(5億6000万円弱)も、大して高くはなかったから、"それなりでしかない"と思われていただろう」

 ただし、ファルケは祖国の2部リーグにいた田中に目をつけていたドイツ人監督。昨季開幕前から獲得を望んでいた指揮官は、「私が期待していたとおりのパフォーマンスを見せてくれている」と前置きして話し始めた。

 さる2月11日、リーズがリーグ戦での無敗を14試合連続に伸ばした第32節ワトフォード戦(4-0)で、「田中の影響力は期待以上か?」と尋ねた際の回答だった。アンパドゥとグルエフの故障も手伝い、デビュー5戦目からほぼ不動のスタメンとなっている日本代表MFは、この日のリーグ戦先発24試合目も、冷静かつ効果的な81分間で期待に応えていた。

「獲得に動いた理由をピッチ上で証明してくれている。イングランドのフィジカルやインテンシティへの適応が済みさえすれば、巨大なインパクトを示してくれるという確信があった。ハードワークが実り、その確信どおりの姿が今、目の前にある」

 ファルケの言う「今の姿」は、リーグ首位に立つリーズの強さそのものだ。32試合を消化して2位シェフィールド・ユナイテッドとの差が2ポイントしかない点は、毎年のようにチャンピオンシップが「激戦区」と言われる所以でもある。しかし、「47」となっている得失点差は2位の2倍以上。リーグ最多の66得点をあげているリーズにあって、田中は最もボールとチームを前へと動かし得る"6番役"だと言える。

 スタッツサイト「FBref.com」のデータを参照すれば、田中は、ボールを最低10ヤード(約9メートル)前方に届けたパスの本数で、リーグ内8位の「182」を記録している。チームメイトで4位のジョー・ロドンは、短いフィードがあるCB。そしてロドンを含む上位7名は、いずれも田中より長い時間をピッチ上で過ごしてもいる。

 ワトフォード戦で2ボランチを組んだ相棒はグルエフ。前方へのパスが1試合平均「5.47」のブルガリア代表を、田中は「7.55」で上回る。終盤に交代したジョー・ロスウェルは、ボーンマスからレンタル移籍中のベテランMFだが、同パス本数は、同じリーグ戦29試合出場の田中より51本少ない。

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