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鎌田大地はプレミアリーグに合わない? 異なる文化を持つ英国の土壌に、あのクリロナさえも苦戦した (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【周囲の見る目を変えるチャンス】

 直近5試合は3勝1分1敗。クリスタル・パレスの調子は上向いてきた。3勝はすべてアウェーゲームで、勝ち点を30に伸ばし、順位も12位まで上がってきた。一時は降格圏に引きずり込まれそうだったが、10位のブライトンとは4ポイント差。残留のボーダーラインとなる勝ち点37は確実で、今シーズンのターゲットをトップ10に上方修正していいかもしれない。

 鎌田も先発フル出場は1試合ながら、直近9試合すべてでピッチに立っている。2-0の勝利を収めたマンチェスター・U戦は「ただひとり及第点以下だった」との酷評はあったものの、ボールポゼッションが33.4%では鎌田のよさが失われる。

 彼の適性はより攻撃的なポジション、中盤インサイドだ。クリスタル・パレスに当てはまれば、3-4-2-1の2列目。現状はエベレチ・エゼとイスマイラ・サールがファーストチョイスになっており、鎌田はアダム・ウォートンやウィル・ヒューズとともに3列目で守備的なタスクが多い。

 だが、クリスタル・パレスの第一目標であるプレミアリーグ残留は、まもなく現実のものになる。グラスナー監督がプレッシャーから解き放たれ、より攻撃的な陣形にトライする可能性も否定できない。

 日本のファン的な視線が許されるなら、エゼと鎌田の2列目が望ましい。28歳の日本代表MFは人を動かす術(すべ)に長けているので、彼のクサビが前線のジャン=フィリップ・マテタにピタリと入るはず。そして鎌田のスルーパスに呼応したエゼが相手DFラインの裏を取れば、クリスタル・パレスの攻撃はより華やかになるのではないだろうか。

 現地時間2月10日開催予定のFAカップは、リーグ2(実質イングランド3部)のドンカスターと相まみえる。鎌田が実力をアピールする絶好のチャンスだ。

 続くプレミアリーグのエバートン戦、フラム戦は実力が拮抗しており、鎌田の高度な戦術眼が試されてしかるべき。この2試合に勝利を収めて勝ち点36まで延ばせると、残留にいよいよリーチがかかる。

 悔しい思いが続く今シーズンの鎌田だが、残り試合で残留のキーパーソンになれば、周囲の見る目は必ず変わる。酷評ばかりのメディアも手のひらを返す。

「鎌田のスルーパスによって、クリスタル・パレスは残留のチケットを得た」

 目にもの見せてやれ!

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

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