今季のバルセロナがあくまで貫く超攻撃的「ハラキリ」サッカー リーガでは苦境もCLは2位通過 (3ページ目)
フリックは攻撃に特化した選手たちを、現地で「ハラキリ」と言われるほどのハイラインで用い、背水の陣の苛烈さで勝利を収めている。
「90分敵陣で戦い、攻め続けるがサッカーの真理」――そこに近づけることこそ、フリック・バルサが見据える道のりだ。
当然、わずかなミスが失点につながる。敵がカウンターアタックを得意とする選手を配した場合、弱点をさらけ出す。その危うさはバルサらしくもあり、それを承知のうえで挑みかかり、活路を求める。そもそも、バルサは守りに入って、フィジカルで相手を制する選手が主力ではない。「美しく勝利せよ」がクラブのアイデンティなのだ。
まさに"肉を切らせて骨を断つ"のプレースタイルが、CLリーグフェーズでは吉と出ている。
では、彼らは決勝の地、ミュンヘンに辿り着けるのか?
キーポイントは結局のところ、"相手より多く点を取れるか"になる。カウンターで失点を浴びて敗れているラ・リーガでの苦境を考えれば、改善は必要だろう。ただ、チーム構造が攻撃に基づいているだけに、おそらく攻め抜くしかない。トップスコアラーのレバンドフスキ、ラフィーニャだけでなく、決定力の高いダニ・オルモが切り札となるか。
CLのラウンド・オブ16は3月4日(現地時間)スタート。一方、バルサの次戦は6日のスペイン国王杯準々決勝バレンシア戦となる。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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