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今季のバルセロナがあくまで貫く超攻撃的「ハラキリ」サッカー リーガでは苦境もCLは2位通過 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【攻撃に特化した選手たちを起用】

 その結果、バルサはバイエルンを4-1と粉砕し、ドルトムントも敵地で2-3と叩いた。相手が攻める姿勢を見せるほうが、彼らは本来の力を発揮できるのだ。今年1月のスペイン・スーパーカップでも、レアル・マドリードを5-2と破って優勝を飾った。

「超」がつく攻撃力を旋回させることができているのは、やはりヤマルというアタッカーのおかげだろう。リオネル・メッシを世に送り出した下部組織ラ・マシアの最高傑作だ。

 ヤマルは、スピード、技術をハイレベルで融合させたプレーを信条とするが、左足アウトを多用するなど、トリッキーさも持ち合わせ、失われたストリートサッカーの匂いがする。彼がボールを運ぶだけで相手のラインを押し下げ、守備をぼろぼろにしてしまう。左足でのシュート、ラストパス、コンビネーションプレーは多彩だが、それを封じられても縦に抜け出てクロスを送り、あるいはPKを誘うのだ。

 そして攻撃は、ヤマルだけではない。

 前線ではロベルト・レバンドフスキが中盤に下がってプレーメイクに関わりながら、シューターとしての強度や老練さを披露。自慢の中盤は、マルク・カサド、ペドリがボール握り、つなげる力で相手を圧倒する。

 ラフィーニャは攻守の車輪を転がすようで、プレスや出どころを抑える守備、スペースにボールを引き出し、フィニッシュする力も卓抜。集中力の高さが際立ち、ベンフィカ戦では相手GKの蹴ったボールをダイレクトのヘディングシュートで決めた。

 一方、右サイドバックのジュル・クンデはヤマルと呼吸を合わせ、縦横無尽に攻撃の渦ができる。左サイドバックのアレハンドロ・バルデはほとんどウィングのように攻め上がる。センターバックのパウ・クバルシのキックはセンターバックのレベルではないし、ロナウド・アラウホはセットプレーで非凡な得点力を見せる。GKはマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンが不在でやや不安定だが......。

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