サッカー日本代表入りへ関根大輝が手本にすべきは酒井宏樹 フランスで求められる能力とは? (3ページ目)
【意外と早くデビューする可能性も】
ただ、そんな関根の台頭が待ち遠しいところではあるが、その一方で、現在のスタッド・ランスのチーム状況は芳しくない。
エルスネス新体制となった今シーズンは、スタートダッシュに成功して一時は3位につけていた時期もあったが、昨年10月20日の第8節オセール戦で敗れて以降、直近のリーグ戦10試合でわずか1勝。順位もボトムハーフにまで急降下し、エルスネル監督の去就問題が取りざたされる状況になってしまった。
たしかに日本人選手だけを見れば、伊東は全試合に先発して4ゴール3アシストを記録し(第17節終了時点。以下同)、中村もチーム最多の7ゴールを量産してリーグ・アンの得点ランキングで8位タイという活躍ぶりを見せている。だが、チームとしては結果が出せなくなっており、このままでは降格圏内に吸い込まれそうな気配も漂っている。
最大の問題は、レギュラークラスの戦力に故障離脱者が続出していること。それによって、試合の流れを選手交代によって変えることができず、特に後半になって戦力ダウンしてしまう苦しい台所事情がある。
とはいえ、個人オーナーのクラブに補強のための豊富な資金はない。
この冬も、これまで関根以外に獲得した新戦力は、FCシリウスから250万ユーロ(約4億円)で獲得したスウェーデンU-21代表のCBマルコム・ジェンと、ヘタフェから120万ユーロ(約1億9000万円)で加入した21歳のMFジョン・パトリックという青田買い的な補強に終始。やはり降格を回避するためには、即戦力の補強が求められるところだ。
またFWの選手層も薄く、1トップは17試合を終えて4ゴールのウマル・ディアキテに頼るしかない。1月14日に行なわれたフランスカップのモナコ戦のように、今後はチーム内得点王の中村が1トップでプレーする試合が増える可能性も高そうだ。
果たして新戦力の関根は、そんな厳しい状況を好転させるきっかけとなれるのか。
エルスネル監督は、関根ら新戦力には十分な準備期間を与えたうえで試したいとしている。しかし現状が変わらなければ、意外と早いタイミングで関根がリーグ・アンの舞台にデビューするかもしれない。
いずれにしても、現在のスタッド・ランスは日本人3選手の力を必要としている。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
【写真】長谷川唯&長野風花「イングランド女子スーパーリーグ」で奮闘
3 / 3