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サッカー日本代表入りへ関根大輝が手本にすべきは酒井宏樹 フランスで求められる能力とは?

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

 この冬のメルカート(移籍市場)で、リーグ・アンの古豪スタッド・ランスに柏レイソルの右SB関根大輝(ひろき)が完全移籍で加入した。契約期間は2029年6月30日までの4年半で、スタッド・ランスが支払った移籍金は65万ユーロ(約1億円)とされる。

 周知のとおり、現在のスタッド・ランスでは日本代表の伊東純也と中村敬斗が攻撃を牽引している。昨夏にジャパンツアーを慣行し、日本企業がユニフォームの胸スポンサーとなるなど、日本との親和性が高いクラブとして知られている。

昨年は柏レイソルで31試合に出場した関根大輝 photo by Getty Images昨年は柏レイソルで31試合に出場した関根大輝 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る しかしながら、Jクラブからフランスの1部リーグに直接羽ばたいた例は、過去に中田浩二(マルセイユ/2005年)と昌子源(トゥールーズ/2019年)のふたりしか存在しないことを考えると、今回の移籍はレアケース。ある意味、クラブの関根に対する期待の大きさの表われ、とも言えるだろう。

「関根大輝はとても完成された選手で、守備面だけでなく、攻撃においても重要な役割を果たす能力を兼ね備えている。彼の戦術理解力と守備テクニックは、我々のシステムにおいても貴重な財産になるはずだ。

 守備においても、彼の身体能力はリーグ・アンに求められるレベルに適応できるだろう。加えて、ビルドアップで必要な足技もあり、ラスト30メートルのところでは効果的なクロスを供給できる」

 会長の息子で、現在クラブのスポーツダイレクターを務めるポル=エドゥアール・カイヨも、獲得に際して関根を高く評価している。

 今回、スタッド・ランスが関根を獲得した背景には、控え右SBのマクシム・ビュシが出場機会を求めて、この冬にNACブレダ(オランダ)にローン移籍したことがあった。

 現在、ルカ・エルスネル監督が基本とする4-3-3で右SBのレギュラーを務めるのは、昨夏にフランクフルトからローン加入したアウレリオ・ブタ(ポルトガル/アンゴラ)。バックアップには、本来CBながらエルスネル監督の下では右SBを任される19歳のアブドゥル・コネ(フランス/コートジボワール)、あるいは左SBのノア・サンギ(フランス/コンゴ共和国)もそつなく右SBをこなし、場合によってはCBのジョセフ・オクム(ケニア)が右SBでプレーしたケースもある。

 つまり本職の右SBは、ブタ以外に新戦力の関根しかいないという状況だ。

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著者プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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