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久保建英の今季前半戦をスペイン人記者が評価 「パフォーマンスが安定していない」のはなぜか? (3ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【プレーの印象に見合うだけの数字を残せていない】

 それが影響し、ラ・リーガとヨーロッパリーグを合わせて23試合に出場しているが、4ゴールしか決められていない。アシストはヨーロッパリーグで2回記録しているが、ラ・リーガでは1度もなし。一方、ポジション争いのライバルになることもあるセルヒオ・ゴメスは、ここまでラ・リーガだけで4アシストを記録している。

 久保は、前半戦に見せたプレーの印象に見合うだけの結果を残せていない。そしてイマノルは、彼に数字を強く求めている。それは久保の成績が向上すれば、ラ・レアルはもっとよくなるからだ。

 それでも久保の4ゴールは、得点力不足のチームにおいて上位につけるすばらしいもの。6ゴールのミケル・オヤルサバルに次いでチーム2位だ。

 また、被ファール数がラ・リーガ全体で6番目に多く、チームトップの32回であることは、久保が常にドリブルを試み、その魔法でチームに貢献しようとしている事実を示している。さらに枠内シュート14本はラ・レアルで4番目に多い。先ほど述べたが、彼は決して姿をくらますことがない。

 久保のような能力を持つウイングが少なくなってきている現在のラ・リーガにおいて、彼はニコ・ウィリアムズ(アスレティック)のような選手と肩を並べる存在だと言えるだろう。ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)には凌駕されているが、この選手はウイングのポジションで世界最高だ。

 これまで話してきた久保の不安定なパフォーマンスは、2024年の終わりに顕著となった。年内最後のセルタ戦でイマノルが彼をベンチに置いたのは、フィジカル面が100%の状態でなかったため、交代要員にする決断を下したのだと思われる。

 不思議だったのは久保を投入した際、左ウイングで起用したことだ。なぜなら彼は左利きであるにもかかわらず、そこでプレーするとパフォーマンスが大きく低下するからだ。右サイドのほうがはるかにチームに貢献し、チームに恩恵をもたらすことができる。

 イマノルは劣勢の状況を変えるため、左サイドからオーリ・オスカルソンにクロスを上げられるように、久保をそのポジションに入れたのだと思う。しかし、すぐにそれがベストの解決策でないと気づいて右サイドに戻したが、久保はまたもや不安定なプレーを見せ、チームの悪い流れを断ちきることはできなかった。

 最近の出来はよくないものの、好調な時の久保はトップレベルの選手だ。私は今季前半戦の出来を7点と評価したが、それは彼がピークを迎えるのはこれからだと思っているからだ。後半戦が始まった後、ベストパフォーマンスを発揮してくれると心より期待している。

(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

著者プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

【画像】レアル・ソシエダ今季主要フォーメーション

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