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久保建英の今季前半戦をスペイン人記者が評価 「パフォーマンスが安定していない」のはなぜか? (2ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【クラックなのは間違いないが、スーパークラックではない】

 久保が今季前半戦でとりわけよかった点は、突破力と攻撃の主軸となる能力だ。その一方でプレーに一貫性がなく、継続していい試合をするのに苦労している。それこそが欧州サッカー界の"貴族"の仲間入りを果たせていない理由なのだ。

 久保が"クラック(名手)"なのは間違いないが、"スーパークラック"ではない。それはすべて、パフォーマンスが安定していないことから由来している。しかし、久保は努力を怠ってはいない。彼は勇敢な選手で、常にチャレンジしている。ミスしても再びトライし、絶えずボールを要求し、主役を演じようとしている。その姿勢と献身性は疑う余地がない。

 おそらくこれにより久保は今季、ラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)加入以降、イマノル・アルグアシル監督からずっと求められていたオフ・ザ・ボールの動きを改善できたのだと思う。彼はボール扱いに優れた選手としてチームにやって来ており、これまで守備面で身を粉にしてサイドバック(SB)をサポートする能力に欠けていた。

 しかし今の久保は自陣に走って戻り、しっかり守備をして、相手のSBを追いかけ、チームを助けている。そのタスクをこなすためにはフィジカル面の向上が必須だったが、彼はそれを成し遂げ、今では大きな問題なく試合全体を耐えられるほどの能力を身につけている。

 それでもその点にはまだ改善の余地があるのは間違いない。なぜならバルセロナ戦(1-0)のように守備面で多大な貢献した試合もあれば、アスレティック・ビルバオとのバスクダービー(0-1)のように大いに苦労した試合もあるからだ。

 久保にはまた、コレクティブなプレーの改善も必要だ。右SBのホン・アランブルとのコンビネーションはうまくいっているが、必要以上に個人プレーになりすぎる時がある。パスを出したり、味方と連係するというベストの選択肢があるにもかかわらず、個人プレーを望む傾向にある。ディナモ・キーウ戦ではそれが起こっていた。シェラルド・ベッカーのゴールをアシストしたのは事実だが、それ以外の場面ではパスを選択せず、自分の成績を上げるためにゴールを狙っていた。

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