鎌田大地、プレミアでの前途は? 瞬間的には光るプレーも「中央集中」のサッカーに埋没 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 クリスタルパレルはサッカーの質でブレントフォードに劣った。この試合をひと言でまとめればそうなる。

 何と言ってもボールの奪われ方が悪かった。3-4-2-1はパッと見、先の尖ったクリスマスツリー型だ。4-1-4-1のブレントフォードにサイドを突かれれば突かれるほど、その傾向は増す。攻撃は中央に偏る。しかも1トップのマテタ、2シャドーの一角を張るエベレチ・エゼ(イングランド代表)の身体能力に頼るその攻撃は強引だ。途中で負傷したマテタに代わって入ったオドソンヌ・エドゥアール(U-21フランス代表)も身体能力を生かした荒々しさが売りだ。

 加えて鎌田も、2シャドーの左というより1トップ下付近でプレーしたことから、真ん中集中の傾向はいっそう顕著になった。ボールを奪われる場所が必然的に内寄りになるので、その瞬間、高い確率でピンチに陥る。現役のイングランド代表4人を含むメンバーの力はブレントフォードを上回る。メンバーで勝りながら、昨季16位のチームに敗れる姿はけっして美しくなかった。グラスナー采配は正直、イマイチという印象だった。

 それはこの日に限った話で終わるのか。少なくとも、鎌田の前途に対して100%楽観的になれる試合ではなかった。瞬間的には光るプレーを見せた鎌田だが、全体的にはクリスマスツリー型のサッカーに埋没してしまった格好だ。クリスタルパレスと鎌田のこれからに目を凝らしたい。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

フォトギャラリーを見る

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る