鎌田大地、プレミアでの前途は? 瞬間的には光るプレーも「中央集中」のサッカーに埋没 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【鎌田ならではの痛快プレーも】

 グラスナー監督のサッカーは、プレミアにおいては少数派の5バックになりやすい3バック(3-4-2-1)だ。フランクフルト時代と同じで、鎌田も同様にその2シャドーの一角に座った。これまでの経緯を踏まえると、鎌田好みの役回りだと推察される。

 鎌田の身長は184センチ。日本人のなかでは大柄な部類に入るが、ボールを保持しながら身体を多角的に回転させることができる。ポストプレーがうまいとされる所以だが、この日も開始4分、挨拶代わりにさっそく披露した。

 MFアダム・ウォートン(イングランド代表)からパスを受けるとくるりと身を翻し、前方で構える1トップのジャン・フィリップ・マテタ(フランス代表)に縦パスをつけ、その結果、CKのチャンスを得た。大迫勇也を除けば、日本人でこの手のプレーをサクッとこなす選手は見当たらない。鎌田の貴重さを垣間見た瞬間である。

 前半20分には日本人選手らしい忠実さを披露している。相手のCBイーサン・ピノック(ジャマイカ代表)を追いかけたその足でGKマルク・フレッケン(オランダ代表)にもしつこくプレスをかけた。それがミスフィードを呼び、近距離からのFKゲットにつながった。

 だが、この日、1番のプレーは前半のアディショナルタイムに再び見せた回転プレーだった。鎌田はCBゲイのロングフィードに反応。最終ラインの裏に入り込むとピノックを背に置きながらくるりと回転。マテタのシュートをお膳立てするラストパスを送った。シュートは外れ、鎌田の飛び出しもオフサイドの判定が下されたが、細身のすらりとした長身選手が、ともすると猫のような動きで、身体能力の高い大柄なディフェンダーを翻弄する姿は、痛快そのものだった。

 一方、残念だったのは前半40分、右前方を走るマテタに送ったラストパスの精度だ。鼻先に出せば1点という決定的なシーンで、鎌田は3メートル先にずらしてしまった。

 ブレントフォード戦の結果を言ってしまえば、クリスタルパレスは2-1で敗れた。ブレントフォードが前半29分に先制すれば、クリスタルパレスが後半12分にピノックのオウンゴールで同点に追いつくという展開で、ヨアネ・ウィサ(コンゴ代表)の逆転弾が決まったのは後半31分、鎌田がピッチを去ったあとだった。

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