欧州サッカー開幕で識者が選んだ「今季、最もブレイクが期待できる」日本人選手4人 (2ページ目)

海外でこそプラスに働く、小回りが利く希少性
三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)

浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 パリ五輪準々決勝敗退という結果で、およそ2年半におよぶ活動を終えたU-23日本代表だったが、その活動期間中は、五輪本番のみならず、数多くの海外遠征を行ない、強豪国との対戦を重ねてきた。そうした機会を通じて海外勢に対する強さを見せていたのが、三戸舜介である。

 日本人選手のなかには、国内(Jリーグ)では活躍できても、国際試合になると思うようなプレーができない選手もいれば、逆に、国際試合になると、むしろ国内で見ている以上のインパクトを残す選手もいる。三戸の場合、後者だった。

 スペースを見つける判断力、そこへ走り込むスピード、狭いスペースでも瞬時の動きで相手のマークを外せるアジリティ。そうした特長を持つ三戸は、国際試合で頼りになる選手だったのである。

 それはパリ五輪でも証明された、と言っていいだろう。大会初戦のパラグアイ戦で貴重な先制ゴールを含む2得点を挙げたのをはじめ、全4試合に出場。先発出場でも、途中出場でも、多くのチャンスを作り出した。

 パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップには、所属するスパルタ・ロッテルダム(オランダ)との交渉が不調に終わったのか、出場することはかなわなかったが、それでも大岩剛監督からの厚い信頼が失われることがなかった結果である。それまでの活動を見ていれば、納得の起用でもあった。

 かねてから海外志向を口にしていた三戸が、オランダに渡ったのは今年1月のこと。以来、三戸は5月のシーズン終了までに19試合出場、2ゴールを記録した。

 初めての海外移籍、それもシーズン途中での移籍だったことを考えれば、及第点と言える数字だろう。

 アルビレックス新潟やスパルタでは、右ウイングを主戦場としてきているが、左ウイングに加え、パリ五輪でもそうだったようにインサイドMFを務めることもでき、自在性は高い。体は小さいが、むしろ海外では小回りが利く希少性がプラスに働く可能性は十分にある。

 さらに言うなら、志向するサッカーにやや大味な部分があるスパルタよりもっと上位のクラブでプレーできれば、さらに三戸のポリバレントなよさが発揮されるはず。だからこそ、今後のステップアップが楽しみになる。

 今季はもちろんのこと、さらにその先を期待したくなる選手である。

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