荻原拓也の本音は「森保監督に申し訳ない」 左SBが本職じゃない選手を起用せざるを得ない状況に「情けない」
森保監督に推薦したい左SBスペシャリスト
荻原拓也(ディナモ・ザグレブ)インタビュー後編
◆荻原拓也・前編>>「足はボロボロ。ピッチはデコボコ。シャワーも浴びられない」
現地時間5月11日、ディナモ・ザグレブがクロアチアリーグ7連覇を決めた。その祝勝会で、荻原拓也はファン・サポーターの前に出ると、勢いに任せて歌った。
「MCから急に自分の名前を呼ばれて、なんだ、なんだと思っていたら、通訳の人から『歌え』って言われて。マジかと思ったけど、前に出て訳もわからず歌いました」
イベントが終わると、通訳に言われた。
「オギ(荻原)は本当に最高だね。今日の祝勝会で、何人の選手がマイクを持って、前に出て話したか覚えている?」
そう言われて思い出してみると、チームの中心選手か、在籍年数の長い選手、もしくはベテランと言われる選手たち数人だけだった。
「加入したばかりで、しかも年齢の若い選手で前に出たのはオギだけだよ。それがどれだけすごいことかわかる?」
在籍期間は半年だが、ディナモ・ザグレブの一員になれている証(あかし)だった。
荻原拓也は日本代表に「絶対に入りたい」と断言 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る 少しさかのぼること5月6日、ディナモ・ザグレブはアウェーに乗り込み、リーグ第33節を戦った。相手はタイトルを争う2位のHNKリエカだった。
「昨季のクロアチアリーグは、ディナモ・ザグレブとリエカとの二強のような状況でした。自分が加入した時は3位くらいだったのですが、そこからディナモ・ザグレブも勝ち点を積み重ねて首位に立った。リエカ戦は上位同士の直接対決で、勝ったほうが優勝するといっても過言ではない状況でした」
ケガの影響もあり出場機会を得られずにいた荻原に、その大一番で出番が回ってくる。0-1で迎えた70分、声がかかる。キャプテンのFWブルーノ・ペトコヴィッチがFKを決めて1-1とした試合終了間際、荻原は結果を残した。
「低い位置でボールを受けて、それを前線につけただけのパスなんですけど、それがゴールに直結するようなプレーになったんです。自分で言うのは少し恥ずかしいですけど、グラウンダーの絶妙なパスでした。パスを受けたアルベル・ホッジャのドリブルとシュートもスーパーでしたが、自分のパスが逆転ゴールにつながったのはうれしかったです」
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著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。