荻原拓也の本音は「森保監督に申し訳ない」 左SBが本職じゃない選手を起用せざるを得ない状況に「情けない」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【もっと日本について勉強しておけばよかった】

 荻原のアシストもあり、リエカに逆転勝利したディナモ・ザグレブは、第34節でNKオシエクにも勝利すると、7年連続、通算25回目となるリーグ優勝を達成する。

 その後、カップ戦の決勝で先発出場した荻原は、二冠に貢献した。

「リーグ戦は年間を通して戦うものなので、半年しか在籍していないし、ましてやピッチに立った時間なんてごくわずかなのに、こんなにもうれしくて、こんなにも満足感があるものなかって思いました。

 性格的に自分を下げるタイプなので、今までなら『自分なんて全然、貢献してないから喜んじゃいけない』って思うはずなのに、あのワンプレーだけでもチームに貢献できたことが自信につながったし、試合に出られない時もサッカーに向き合ってきてよかったなって思いました」

 そう言って「今までの自分は自信家とは対極にいるような人間だったのに、クロアチアに来て、人生を含めて楽しもうというマインドがかけ合わさりました」と笑う。そして「そんな自分が今、おもしろい」と胸を張った。

 クロアチアという国、ザグレブという町にも影響を受けている。

「浦和レッズの応援は、今回帰国してスタジアムに行った時も、あらためてすごいなって思わされました。一方、クロアチアでは町全体がサッカーを楽しみ、知っているような雰囲気や感覚がある。

 クロアチアは娯楽も少ない分、どこに行ってもサッカーが流れている。それこそ、楽しむところなんてバーくらい。そのお店に入るとモニターがあって、必ずサッカーが流れている」

 日々の生活のなかで、サッカーの本質に触れたことで、思考にも変化をもたらしている。

「海外で暮らしてわずか半年ですけど、もっといろんなことを勉強しておけばよかった。たとえば自分が生まれた国の歴史とか政策についても、もっと知っておけばよかったなって思いました。それを英語で説明するのはもっと難しいことですけど、自分の国がどういう歴史を歩んできたのか、クロアチアでも日本はいい国だって言ってくれるけど、どの部分がいいのかと思ったりした部分もあったからです」

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