ユーロ2024優勝はどこになる? 好調のスペインかフランスが巻き返すか 識者共通のサプライズ候補も (4ページ目)

【オーストリアはここまで最大のサプライズ】

篠 幸彦(スポーツライター)

◎本命:スペイン 
〇対抗:ドイツ 
▲穴:オーストリア

 難敵揃いのグループBを3勝、5得点0失点と、文句のつけようのない結果で1位通過したスペインは、間違いなく今大会随一の完成度。クロアチアを3-0で破った初戦は、あまりに見事だった。決勝トーナメントもニコ・ウィリアムズ、ラミン・ヤマルの若き両ウイングの、野心溢れるドリブル突破に注目だ。

 そのスペインと準々決勝で当たるかもしれないドイツも、2勝1分、8得点で1位通過し、好調なグループステージとなった。言うまでもなく、今大会が現役最後となるトニ・クロースは、最後のワンプレーまで刮目すべきだ。それから、第3節スイス戦のアディショナルタイムで同点弾を決めたニクラス・フュルクルクの決定力は、ノックアウトステージでも切り札となるだろう。

 スペインやドイツ、フランス、ポルトガルなど、優勝候補となる国がこれだけ一方の山に偏ったことで、もう片方の山ではどんなサプライズも起こりうる。本来、優勝候補の一角に入るイングランドやオランダは不調で、どこが上がってきてもおかしくない。

 そんななかでグループDを首位通過したオーストリアは、ここまで最大のサプライズだ。突出したスーパースターがいるわけではないが、ラルフ・ラングニックが率いるチームはよく組織され、ダイナミズムに溢れる好チーム。ラウンド16のトルコに勝利すれば、その勢いで決勝まで駆け上がってもおかしくない。今大会のダークホースとなり得る。

プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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