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ユーロ2024でフランスとオランダが激突 エムバペ、ガクポの両チーム左サイドのエースがカギ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【視界良好とは言えないオランダ】

 エムバペの適性は真ん中より左。移籍先のレアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニオールとキャラは完全に被る。それぞれはどうポジションを分け合うのか。そんな目で見ていたオーストリア戦の前半38分のことだった。

 右ウイングの位置でボールを受けると、対峙するマーカー、フィリップ・ムウェネ(マインツ)をまたぎのフェイントで幻惑すると縦突破に成功。マイナスの折り返しを決めると、マクシミリアン・ウーバー(リーズ)のオウンゴールを誘った。切れ味満点のドリブルを、左のみならず右でも披露した。驚いた相手のセンターバック(CB)がボールを誤って自軍の枠内に流し込んでしまうのも当然か。

 しかしフランスが奪った得点は、この1点に終わった。ラルフ・ラングニック監督率いる相手のオーストリアがそれなりの好チームだったからだ。高い位置からプレスを掛ける積極的なサッカーでフランスを苦しめた。CBダビド・アラバ(レアル・マドリード)という守備の要が故障していなければ、あるいはオウンゴールはなかったかもしれない。

 一方のオランダは、ポーランドに対し、逆転勝ちを収めている。前半16分、CKから相手FWアダム・ブクサ(アンタルヤスポル)にヘッドで先制される苦しい展開になったが、前半29分、ナタン・アケ(マンチェスター・シティ)のパスをコーディ・ガクポ(リバプール)が蹴り込み同点とする。1-1の時間が長く続いたが、後半38分、交代で入ったワウト・ウェクホルスト(ホッフェンハイム)がアケのパスを蹴り込み、終盤で逆転に成功した。

 ロベルト・レバンドフスキ(バルセロナ)をケガで欠き、5バックで守りを固めてきたポーランドに対しての苦戦。フランス戦に向けて、必ずしも視界良好、万全な体制にあるとは言えない。

 問題が見え隠れしたのは4-2-3-1の右サイドだった。マイボールに転じると、デンゼル・ダンフリース(インテル)が高い位置で構えようとする半3バック的布陣である。それと同時に、右ウイングのシャビ・シモンズ(ライプツィヒ)が内に入る。右のサイドアタッカーはその瞬間、ダンフリースひとりになる。

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