ユーロ2024はどこが優勝するか? エムバペが引っ張るフランス、タレント軍団イングランド、開催国ドイツほか注目チーム&選手を紹介 (5ページ目)
【ブレイクが期待される若手は?】
国としては挙げられなかったが、個人としてブレイクが期待される若手選手も紹介したい。
まずはスペインのラミン・ヤマル(バルセロナ)。まだ16歳ながらドリブルのクオリティ、破壊力は、スペインの勝敗を握るレベルにある。バルセロナがデンベレの移籍によって少しも困らなかったのは、彼の台頭があったからだ。今大会がヤマルの大会となる可能性も十分にあるほどのポテンシャルを秘める。
オランダのジェレミー・フリンポンとシャビ・シモンズも注目だ。前者は無敗優勝のレバークーゼンで今季9得点5アシストとブレイク。その突破力と得点力はサイドバックというより、もはやウイングだ。6月のカナダとの親善試合ではウイングで起用され、1ゴールを決めている。今オフ人気銘柄のひとりである。
シャビ・シモンズは、今季ライプツィヒでプレー。ハードなチームスタイルのなかで、クリエイティブなドリブルやパスでチャンスを生み出す、ボールプレーヤーだ。攻撃のタレントが豊富なオランダのなかでもそのテクニックは異彩を放っている。
ベルギーのジェレミー・ドクは今季、マンチェスター・シティに加入し、左ウイングで崩しの一手を担いブレイクした。卓越したアジリティとドリブルスキルは、プレミアリーグを席巻し、局面打開では手がつけられなかった。今大会でもそのドリブルで、大会の主役のひとりとなれるか注目だ。
最後はトルコの19歳、アルダ・ギュレル。今季、レアル・マドリードに鳴り物入りで加入するも、ケガによってシーズンの多くを棒に振ってしまった。しかし、その実力は本物だ。左足から繰り出されるパスやドリブルは創造性に溢れ、局面を一気に変える力を備える。初の大舞台でその片鱗を見せることができるか。
どの国が欧州の覇権を手にするかはもちろんのこと、ユーロをきっかけにネクストスターの誕生や最新の戦術のトレンドのぶつかり合いなど、サッカー界の新たな潮流を目の当たりにできるのもこの大会の醍醐味である。ぜひ、さまざまな視点で今大会を楽しんでもらいたい。
著者プロフィール
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
【画像】ユーロ2024 注目チームのフォーメーション フランス、イングランド、ドイツ…優勝するのはどこだ?
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