EURO名場面 攻めるオランダ、守るイタリア...欧州サッカーの真髄を見た (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 後日談をもうひとつ。EURO2000の直後、バルセロナが新シーズンに向けてオランダで合宿を張った時のことだ。PKの練習でフランク・デ・ブールがボールをセットすると、選手仲間からいっせいにヤジが飛んだ。「トルド、トルド、トルド......」。デ・ブールは勘弁してくれと苦笑い。周囲は大爆笑に包まれた。トルドがオランダのPKを5本止めたイタリア代表のGKであることは言うまでもない。

 優勝は決勝でイタリアを破ったフランス。だがオランダ対イタリアの準決勝は、それほどインパクトがある一戦だった。「サッカーってスポーツは、攻めていればいいってもんじゃないんですね」。日本に帰国し、サッカーにあまり詳しくない知人からそう言われ、筆者には返す言葉がなかった。

 UEFA選定ベストイレブンは以下のとおり。

 GKフランチェスコ・トルド(イタリア)、DFリリアン・テュラム、ローラン・ブラン(ともにフランス)、パオロ・マルディーニ、ファビオ・カンナバーロ(ともにイタリア)、MFエドガー・ダービッツ(オランダ)、パトリック・ヴィエラ、ジネディーヌ・ジダン(ともにフランス)、ルイス・フィーゴ(ポルトガル)、FWパトリック・クライファート(オランダ)、フランチェスコ・トッティ(イタリア)。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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