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レアル・マドリード恐るべし!CL準決勝でまたまた見せたしぶとさ 原動力はヴィニシウス (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【レアルは選手交代が大当たり】

 合計スコアはバイエルンの3-2。残り時間22分プラスアディショナルタイム。試合はこのまま終わるのか。動くのか。

 後半26分にはレアル・マドリードのゴールが決まるも、直前に反則がありVARで取り消される。攻めるレアル・マドリード。守るバイエルン。前日のPSG対ドルトムントを彷彿とさせる展開となった。PSGはそのままノーゴールに終わり敗退。念願の初優勝を逃すことになった。

 しかし、チャンピオンズカップ時代を含めて過去14度優勝を飾っているレアル・マドリードがこの試合で見せた終盤の戦いは、一度も欧州一に輝いていないPSGとの違いを見るかのようだった。

 後半38分、リュディガーの縦パスをヴィニシウスが狙う。シュートは僅かに外れたが、ジワジワと何かが押し寄せてきている感じがした。

 後半43分、再びヴィニシウスが登場。ベリンガムからパスを受け、シュートを狙った瞬間、得点の予感はしなかった。GKノイアーの正面を突く優しいシュートに見えた。ところが、ここで「まさか」が起きる。名手ノイアーがファンブルしたのだ。そこに疾風のごとく現れたのが、交代で入ったホセル(スペイン代表)。そのゴールをきれいに流し込み、同点ゴールとした。

 1-1(合計スコア3-3)。レアル・マドリードはここでひと息つかなかった。アディショナルタイムに入った瞬間だった。ヴィニシウスのクロスをナチョ・フェルナンデス(スペイン代表)が拾い、左に開いたリュディガーに展開。決勝ゴールが生まれたのは、そのマイナスの折り返しが決まった瞬間だった。ゴール前でプッシュしたのはホセル。カルロ・アンチェロッティ監督の選手交代が大当たりした。

 アディショナルタイムは9分の表示、実質は14分30秒もあった。しかし、バイエルンはすでに交代カードを使いきっていた。5バックにこそ変更しなかったが、後半31分に左ウイング、レロイ・サネ(ドイツ代表)に代えてCBキム・ミンジェ(韓国代表)を入れるなど、後ろに重たい陣形にしていたことも、追い上げムードに水を差した。一度後ろに重心を下げてしまうと、そこから前掛かりにすることは難しい。バイエルンが悔やむとすれば、トゥヘル監督のこの後ろ向きの采配になるだろう。

 それにしても、レアル・マドリードのしぶとさには恐れ入る。終盤になるほど、チーム力は上がる。ヴィニシウスがその原動力になっていることは言うまでもない。優勝すれば立派なバロンドール候補に躍り出るだろう。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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